2月29日の結婚発表で、シーズン開幕前から注目度が最高潮に達していた大谷選手だが、そこに元専属通訳・水原一平氏の違法賭博スキャンダルが巻き起こった。おそらく大谷選手自身も経験したことのないような大変な時期だったのではないかと察する。
MLBは、100億ドル以上のビジネス規模を誇る人気スポーツだ。特に北米からアジアでその注目度は非常に高い。そのシーズン開幕に降って湧いた大騒動だが、実際のところ、現地アメリカではどのように報じられているのだろうか。
アメリカでも注目度が高い「大谷翔平」。本件では“いじり”も
基本的に、アメリカのメディアでも、大谷選手のニュースは非常に注目度が高い。MLBで最も稼ぐ選手ということを考えれば、その一挙手一投足がニュースになるのは仕方がないだろう。スーパースターのアスリートともなれば、もはやセレブという扱いになる。事実、結婚報道すらかなり大きな扱いになっている。今回の違法賭博については、話題の選手の大スキャンダルということもあってアメリカのメディア報道も加熱した。常に笑顔を欠かさず、グランドのゴミを拾うなど礼儀正しい選手というイメージの大谷選手が、違法賭博に絡んでいたかもしれないという意外なニュースは、アメリカで人気の夜のトークショーでもいじられるほどだった。
日本とは違い、アスリートの報道に「忖度」がないアメリカ
日本の報道と大きく違う点があるとすれば、日本の場合は、スポーツ新聞社などがアスリートに必要以上の忖度を行うことだろう。というのも、日本のプロ野球では番記者に対して大きな影響力があり、スポーツ紙側が下手な記事を書けば、球団が取材に協力してくれなくなるという憂き目に遭う。そうなれば、ライバル社と横並びの情報すら手に入れられなくなる可能性がある。そういう意味では、アメリカで球団がそうした嫌がらせをしたという話は、筆者の知る限り、聞いたことがない。もし球団がそうした行為をすれば、ジャーナリズムの理念や表現の自由という観点から、新聞社と訴訟になることも考えられるだろう。アメリカでは忖度なき報道が繰り広げられる。
ちなみに2001年、記者になって間もない筆者がMLBのオールスター戦を取材した際に、日本人プレーヤーが日本メディアの取材にだけは応じないと宣言して、地元新聞でニュースになったことがある。この選手のスキャンダルを一部の週刊誌が追いかけていたからで、地元記者らもプレーヤーの動きに困惑していたのを覚えている。