福地桃子が可憐に“千尋”デビュー! 日英同時上演の舞台『千と千尋の神隠し』は歴史的快挙
2022年に舞台化された宮﨑駿監督の『千と千尋の神隠し』が、2024年は日英で同時上演。海外で4カ月もの間、日本のプロダクションが日本語で公演を行うのはほぼ類を見ない快挙です。話題の舞台を、今回千尋役デビューした福地桃子さんの主演回を通してリポート!
“10歳の少女”の成長を丁寧に、みずみずしく演じる福地桃子さん
観客を異世界にいざなう主人公・千尋をこの日、演じたのは福地桃子さん。続投の橋本環奈さん、上白石萌音さん、やはり新キャストの川栄李奈さん(3月27日にデビュー予定)と回替わりで、長期公演に挑んでいます。
昨秋、初舞台となった『橋からの眺め』では、少女から大人の女性への過渡期を鮮やかに演じ、悲劇の発端となってゆく役どころで存在感を放っていた福地さんですが、今回は冒頭の心もとない足取りからして、いかにも消極的な小学生。
そんな彼女が両親を助けるため未知の世界に飛び込み、「鈍くさい」と言われながらも懸命に働く姿はなんとも健気で、心を寄せずにはいられません。決して一足飛びではなく、1つ1つの出来事をしっかりと受け止めながら成長してゆく千尋として、ラスト近く、髪を結び直すくだりでの、冒頭とはまるで違うオーラが強い印象を残します。
4月からのロンドン公演には、4人の千尋役が順に渡英し、出演する予定。シェイクスピアを生んだ国であり、伝統的に台詞で構築された演目が好まれるイギリスでは、主人公とカオナシたちが無言で電車に乗るといった詩的なシーンも少なくない本作は新鮮に受け止められる可能性が大ですが、そんな中で4人の千尋たちも新たな発見をし、さらに役を深めてゆくことでしょう。
将来的にはブロードウェイでもぜひ、とラブコールがあがりそうな本作。海外で日本の演劇というととかく歌舞伎など古典芸能がイメージされがちだった中で、日本の演劇の代名詞といえば『千と千尋の神隠し』、という日が遠からず、訪れるかもしれません。
公演情報
舞台『千と千尋の神隠し』3月11~30日=帝国劇場。4月に御園座、4~5月に博多座、5~6月に梅田芸術劇場メインホール、6月に札幌文化芸術劇場hitaru、4~8月にLondon Coliseumでも上演。