2023年の差別問題へ真摯(しんし)に向き合った映画を5作品紹介しましょう。その中には「アフリカ系アメリカ人の少年が白人女性に口笛を吹いたことで殺された」実話を描いた映画もあるのです。※サムネイル画像出典:(C) 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.
1950年代アメリカで「アフリカ系アメリカ人の少年が白人女性に口笛を吹いたことで殺された」という実在の事件「エメット・ティル殺害事件」を映画化した作品です。映画本編を見ても、本当に「こんなことだけで子どもが殺されてしまうのか」とショックを受けましたし、それが「当たり前」だったことが分かる当時の風潮に戦慄しました。
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焦点が当たっているのは、息子の変わり果てた姿と対面し、この凄惨な事件を世間に知らしめるために行動する母親の姿。会話の間を長めに取り、登場人物が「何を考えて」「どんな感情を溜めているのか」を想像させる演出は、スクリーンで集中して見てこそのものでしょう。
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母親を演じたダニエル・デッドワイラーの熱演のひとつひとつが胸に迫りますし、見る側にもとてつもない怒りを覚えさせることが何より重要でした。アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなった事件であることも踏まえ、全ての人が「知っておくべき物語」だと断言します。2023年のベスト映画を決める前に、ぜひ見てほしいです。