1:『エクソシスト 信じる者』(2023年12月1日より公開中)
ホラー映画の金字塔である『エクソシスト』(1973年)の正当続編です。物語は、少女とその友達が行方不明となった3日後に無事に保護されるものの、常軌を逸した行動を繰り返し、少女の父親が事態の解決のため奔走するというもの。予備知識がなくても楽しめますが、初代『エクソシスト』のキャラクターが登場するほか、オマージュにあふれるシーンが多数あるので、なるべくそちらを事前に鑑賞しておいたほうがいいでしょう。少女2人が失踪する過程が切実かつリアルに感じられましたし、皮肉っぽくて悪魔払いに懐疑的な父親が「頼るしかなくなっていく」様に感情移入できました。後半の展開はフレッシュな印象に欠けるなどの理由から賛否両論を呼んでいますが、同じくアイコニックなホラー映画『ハロウィン』の続編3部作を手掛けたデヴィッド・ゴードン・グリーン監督らしい生真面目さは十分に感じられました。
2:『ファミリー・ディナー』(12月8日より公開中)
こちらはオーストリア製。ふくよかな体形に悩む少女が実家から離れてダイエットに挑むものの、料理研究家かつ栄養士の叔母の指導が思いの外厳しすぎて……という流れから、パッと見のビジュアルから予感させる以上の恐怖がじわじわ見えてくる内容で、この田舎がいい意味でイヤだ系映画の1つでもあります。食事制限だけでなく、いとこは敵意剥き出しの言動ばかりで嫌がらせをしてきて、叔母の新しい夫も不穏な空気を漂わせて、イースターの祝祭が近づくとさらに「真実」へと近づいていって……その先にはPG12指定ではやや甘いと思えるショッキングな画、そして悲鳴をあげてしまいそうなほどにグロテスクな事実が待ち受けています。基本的には落ち着いた作風ですが、終盤にはグッとエンタメ性が上がる場面もありますよ。
3:『ヘル・レイザー』(12月8日より公開中)
1987年製作のカルト的人気を誇る映画が4Kレストア版としてリバイバル上映。何しろ顔にたくさんのピンが刺さった怪人「ピンヘッド」の見た目が強烈なので見る人を選びそうですが、物語そのものは「空き家に引っ越してきた家族が恐ろしい陰謀に巻き込まれる」という分かりやすいもの。当時のアナログな造形の怪人や恐怖シーンが、今だとむしろフレッシュかつ恐ろしく感じられるのではないでしょうか。愛人関係だった夫の兄に命じられるがままに男たちを家に呼び寄せて、その血肉を提供する……という妻の行動はいい意味で拒否反応を覚えますが、だからこそまともな倫理観を持ち恐怖に立ち向かう娘を応援できます。PG12指定でもギリギリなグロテスクかつ痛いシーンがあるので、ある程度の覚悟を持って見た方がいいでしょう。なお、続編『ヘルレイザー2:ヘルバウンド』『ヘルレイザー3:ヘル・オン・アース』『ヘルレイザー4:ブラッドライン』も2024年1月12日よりリバイバル上映が決定しています。