『VIVANT』“経理の原さん” 橋本さとし「堺君と近づきすぎて」。最新舞台では“陽気な町長さん”に

続編を熱望する声がやまない『VIVANT』(TBS)。その前半を盛り上げた1人、“経理の原部長”役の橋本さとしさんにインタビュー!『VIVANT』の思い出や最新舞台『カム フロム アウェイ』について、男の色気について熱く語ってくれました。

傑作ミュージカル『カム フロム アウェイ』に来春出演

カムフロムアウェイ
『カム フロム アウェイ』

そんな橋本さんが今、楽しみにしているのが、来春出演するブロードウェイ・ミュージカル『カム フロム アウェイ』。2001年のアメリカ同時多発テロ勃発により、行き場を失った旅客機38機を受け入れた小さな町の5日間を描き、トニー賞、オリビエ賞など各賞を受賞した傑作です。
 

「出演が決まり、勉強の意味で舞台映像を観たら、あまりにすごい作品で見入ってしまいました。ミュージカルというときらびやかな世界を思い浮かべる方も多いと思いますが、この作品の登場人物はガンダーという町に実在する、ごく“普通の”人たち。アイリッシュ系の生の音楽がずっと流れる中で、12人の俳優たちが1人何役も演じながら、彼らと乗客たちの5日間を見せて行くんです。
 

100分間、全く隙のない芝居にのめり込みながら、人間って短い時間の中で、ここまで深く繋がって行けるんだな、と感動しました。没入感がかなり大きい作品です」
 

橋本さんが主に演じるのは、ガンダー町の町長。普段はレストランでペプシを飲みながら町民とお喋りするのが日課……というのんびりとした日々を過ごしていたのが、突然7000人もの乗客を迎え入れるという決断を迫られます。
 
「小さな町の、素朴な町長さんにとっては、途方もない事態だったと思います。人口1万しかない自分たちの町が、そんなに多くの人を迎えられるのか。責任ある立場の彼としては簡単にイエスとは言えないけれど、人としては救いたい優しさもある。まずはその迷いをしっかり出したいですね。
 

決断後も、乗客たちをどこに宿泊させるか、どう移動させるのか、届きすぎた救援物資はどうするのか、と問題は次から次へと発生するのですが、彼は町の人たちと一緒に、一つひとつ敢然と対処していきます。決して威厳のある町長さんとして演じるのではなく、人が必死になった時の滑稽さといった芝居を得意とする僕ならではの、どこか飄々(ひょうひょう)とした味を出せたらと思っています」

カムフロムアウェイ
『カム フロム アウェイ』では橋本さんのみならず、『VIVANT』にも出演した吉原光夫さんら、ミュージカル界を代表する俳優たちが集結するのも見どころ。

いわゆる“火事場の馬鹿力”を発揮する役どころには、役者としての経験が役立つかもしれない、と橋本さん。
 

「長いことやっていても、実は人前に立つと緊張しますし、“せりふ忘れないかな……”とか、不安の塊になることがあります。完璧を目指して稽古しても、その実感を得られないまま本番を迎えることも。
 

でも、“立つしかない”という思いで一歩、舞台の上に立つと、不思議にそれまでの不安が消えて“大丈夫じゃん、俺”、となります(笑)。稽古場で必死に模索しても見えなかったものが、舞台から客席の方を向いた途端にぱーっと見えてくる。10くらいしかなかったエネルギーがぐぐぐぐぐっと100くらいに上がるんですね。決して自分だけではなく、仲間たち、お客さま、そして劇場の“気”があってこそなのですが、まさに“火事場の馬鹿力”なんだろうと思います」
 

日本に生きる人々にとっても、本作は“自分ごと”として捉えられる作品だと思う、と言う橋本さん。
 

「コロナ禍でニューヨークでも劇場がクローズされていた期間がありましたが、事態がややおさまってまっさきに再開したのが、人と人との繋がりの大切さを再確認できる、この作品だったそうです。それだけ、多くの人に“こういうものが観たい”と思われたのでしょうね。日本人も大いに共感できる作品だと思います」

>次ページ:イケオジ的“男の色気”とは
 

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