”ミュージカル界きってのイケオジ”が考える”男の色気”
かつて劇団に所属していた頃はロック・ミュージシャンさながらのワイルドなルックス、内面的にも「やんちゃで、普通に歩くのが嫌でわざとスキップしたりしていました(笑)」という橋本さんですが、近年は滅びゆく炭鉱の町でもがくシングル・ファーザー役(舞台『ビリー・エリオット』)、消防庁時代の経験を悔やむ実直な危機管理対策室室長役(『TOKYO MER~走る緊急救命室~』TBS系)、と悲哀漂う役を演じる機会も増え、“ミュージカル界きってのイケオジ”と呼ばれることも。
「『どうする家康』(NHK)では武田軍の山県昌景という、規格外に強い武将役で、いつもの2.5枚目をかなぐり捨て(笑)、“男もほれる男”を演じるのが楽しかったです。関西人なのでどうしても“笑かさなあかんかな”と思ってしまうのですが、そこを全く必要としない役をやらせていただくのも気持ちがいいです」
最後に、“男の色気”とはどういうものか、橋本さんの意見を伺ってみると……。
「僕らの年代になると、セクシーだから色気がある、とはならないんですよね。どれだけ修羅場をくぐってきたか。そしてそれを、どれだけ無駄にせず引き出しにしまってきたか。何事も全身全霊で受け止めて、ぼろぼろにならないと身体に刻まれていかないし、傷ついたことに気付かないで生きるというのは、もったいないことだと思います。いっぱい傷を持っている人って、色気があると思いますね。
もちろん、暴力的な意味じゃないですよ(笑)。仕事でもなんでも、どんなにもがいてもうまくいかないことがあるし、心が傷つきもする。それでももがき続けて、心の中に拳を握った人でありたいです。僕はイケオジどころか劣化オヤジで(笑)、若い人の輝きにはかないっこないけれど、自分の“傷”を自信に変えながら、すてきに枯れていきたいですね。もっとも、舞台上でのギラギラ感は負けないつもりですが(笑)」
橋本さとしプロフィール
1966年、大阪府出身。大阪芸術大学卒業後、劇団☆新感線に入団。1997年に退団後は舞台・映像・ナレーションと幅広く活躍。近年の出演作にTVドラマ『VIVANT』『どうする家康』『らんまん』映画『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』舞台『ムーラン・ルージュ!』『おとこたち』『千と千尋の神隠し』などがある。
<公演情報>
『カム フロム アウェイ』2024年3月7~29日、その後大阪、愛知、福岡、熊本などで上演。公式Webサイト