ヒナタカの雑食系映画論 第35回

なぜ高評価? 実写ドラマ版『ONE PIECE』は“原作の再構築”が素晴らしい。感動した改変ポイントベスト5

Netflixで配信中の実写ドラマ版『ONE PIECE』が、「漫画の実写化」の中でも飛び抜けて大評判を呼んでいます。ここでは筆者が独断と偏見で選ぶ、原作からの改変ポイントベスト5を記していきましょう。※Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社

 

※以下、実写ドラマ版『ONE PIECE』の一部ネタバレに触れています。

5位:ゾロとナミと序盤から共闘!

序盤に戦う敵「斧手のモーガン」は、原作ではルフィとゾロが共闘して倒していましたが、今回の実写版ではそこにナミも登場。「ナミがもっと早くルフィたちと出会っていたら?」というIFをまさにかなえてくれているようでしたし、軍服を盗んだナミと協力して(ルフィが捕まるフリをして)潜入するシチュエーションも面白く、ナミのキレのある棒術のアクションも見応えがあり、そこにゾロが“参戦”する画もアツい!
 
ONEPIECE
Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社

また、アニメ版に比べて(元の英語音声でも吹き替え版でも)キャラクターたちが良い意味で実写に合わせたテンション低めかつ冷静なリアクションになっており、しきりに「仲間だ!」と言うルフィに対して、ナミとゾロが「違う、仲間じゃない」とハモってツッコむ様も面白いです。
 
ONEPIECE
Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社
この3人の掛け合いの中で、ピンポイントで好きなシーンは、金庫を運ぼうとしたした時、ナミがロープか何かを探すものの、ゾロがそのまま持っていって「それでもいいけど」と言うところ。

さらに、金庫のダイヤルを回す時に耳を寄せているナミに、ルフィが顔をくっつける様子も大好きです。この時点では3人が原作以上に険悪で空気が悪いからこそ、後に彼らが本当の仲間になっていく様が感動的になっています。
 

4位:バギーの罠で大ピンチ&ルフィの過去がリンクする演出

原作ではルフィの幼少期のエピソードは第1話で一気に語られていましたが、ドラマ版では現在と並行して語られる構成になっています。
ONEPIECE
Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社
ルフィが「海水を注ぎ込む」というバギーの罠にかけられることが今回の実写ドラマ独自の描写で、それが幼少期に山賊に連れて行かれた挙句に海で溺れかけたトラウマと重なるようになっているのです。

そのトラウマと合わせ、現在のルフィがナミとゾロを仲間だと信じていることが、かつてシャンクスがピンチに駆けつけてくれたことともリンクしています。
 
ONEPIECE
Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社
過去のエピソードと絡めて、トラウマと同時に、仲間を信じる理由までをも示すスマートさは称賛するしかありません。その後にナミが「宝物」のルフィの麦わら帽を直してくれること自体は原作と同じですが、この構成があるからこそ、さらにグッと来るようにもなっています。

>次のページ:実写ドラマ版『ONE PIECE』の「もう1人の主人公」とは
 
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