JR赤穂線に乗り入れる
ここからは、大きく右にカーブして単線の赤穂線に乗り入れる。赤穂線は、終点の相生で再び山陽本線に合流する路線で、行き止まりのローカル線ではない。かつては、山陽本線のバイパス的な役割も果たし、京阪神から赤穂線に直通し、岡山から再び山陽本線に戻る急行列車が運転されたこともあったが、山陽新幹線の博多開業を機に廃止された。現在は、普通列車のみの運行で、最優等列車が、月に何回か走る「ラ・マル備前長船」なのである。
さて、列車は裸祭りで有名な西大寺に到着。停車駅ではないのでドアは開かない。単線で列車行き違いのための運転停車だ。岡山行きの昔懐かしい湘南色の115系電車が到着すると発車した。すぐに吉井川の鉄橋を渡り、遠くになだらかな山並みが望まれる平坦な田園地帯を快走する。
刀剣のふるさと長船
20分余りで長船(おさふね)に到着。刀剣の産地として知られるところで、備前長船刀剣博物館がある。長船駅を発車してしばらくすると、進行方向左手に博物館の建物が見えるのだが、駅から歩くとかなりの距離だ。 刀剣の貴重なコレクションを展示しているのみならず、職人による刀剣づくりのための作業を実際に見ることもできる。一見の価値があるので、ぜひ訪問したい。駅前からタクシーを利用すれば7分ほどで行ける。参考:「備前長船刀剣博物館」公式Webサイト
車内から刀剣博物館が見えてからしばらくすると、左手に新幹線の高架橋が寄り添ってくる。この先少しの間、新幹線の高架橋の南側を並走する。といっても赤穂線は、地上をひた走るので新幹線がよく見えるわけではない。右手の田んぼの中に727という赤字で書かれた看板が見える。
新幹線の車窓ではおなじみの看板だが、在来線の車両から見えるのは珍しい。山陽新幹線と並走しているから、新幹線の乗客が目にとどめるように設置されているのだ。長船駅から8分ほどで伊部駅に到着する。