日本中が注目していた、ジャニーズ事務所の会見に失望の声が上がっている。
筆者も危機管理を生業としている者として興味深く会見を拝見をしたが、残念ながら「最悪」の一言に尽きる。まず、「やらなくてはいけないこと」をまったくやっていない。
クリアしなければならなかった3つの最低条件
筆者はこの5月に本媒体で「ジャニーズ事務所は生き残れるのか? 危機管理のプロが考える3つの最低条件」という記事を公開し、同社が信頼を回復していくには以下3つの条件を最低でもクリアしなければいけないと提言させていただいた。
1. 第三者による調査報告書の公表
2. 藤島ジュリー社長の辞任、および外部から経営者を招聘(しょうへい)
3. 「ジャニーズ」の看板を下ろす
しかし、現段階でクリアできているのは「1」だけである。藤島ジュリー景子氏は社長を辞任したが、代表取締役で残留する。しかも、オーナーとして絶大な影響力があるので単に表舞台に出なくなっただけだ。
残念ながら、これでは「人類史上最悪の性加害事件」を組織ぐるみで隠蔽してきたのではないかと疑いの目を向けられる会社が、生まれ変われることはできない。
そこに加えて、あの会見が「最悪」だったのは、「新たなリスク」を生じさせてしまっていることだ。
むしろ事態を悪化させてしまった
企業危機管理における会見とは、起きてしまっている問題に対して情報提供や説明をすることで、ダメージを最小限に抑えて、事態を収束に向かわせることを目的としている。
しかし、ジャニーズ事務所の会見は残念ながらそうなるどころか、海外メディアや週刊誌、そして被害者たちが追及できる「新たな攻撃材料」を提示した。要は、事態を悪化させているのだ。