しかし、その導入の背景には、江ノ電ならではの切実な事情があった。
増発や増結は不可能な江ノ電の現状
しかし、近年の混雑で各駅での乗り降りに手間取り定時運行が確保できなくなっている。そのため、列車ダイヤに余裕を持たせるため14分間隔に変更し、それが一層混雑に拍車をかけているとも指摘される。
こうした状況から、車両に少しでも多くの人を収容することに活路を見いだすしかなかったのである。
謎の座席配置、「1人掛け」導入の正体
運転台後ろに前面展望が可能な2人掛けクロスシートがあるのは、以前の車両でも見られたが、それ以外にも、ドアとドアの間(すなわち車内中央部分)にクロスシートが配置されている。これは江ノ電初ではないだろうか(車端部のクロスシートは10形、20形に見られる)。
こうすると、電車が相模湾に沿って走る区間では、どの座席からでも海が見えることになる。窓ガラスには「ポジカくっきりフィルム」を貼付しているので、光のギラツキを軽減させ、まぶしさを抑えながら車窓をより色鮮やかに見せるという。鉄道業界初の採用である。
こう書いていくと、この車両はいかにも観光客用に特化したものに見える。
もちろん観光面でのサービスを考えているのは確かなのだが、実は、別の効用も考えている。
それは、近年深刻化しているオーバーツーリズムによる混雑の激化、地元の利用者からの乗るに乗れないとの苦情に少しでも対応しての苦肉の策ということである。



