課金=真剣に相手を探している、というわけではない
「確かに課金しているので、多くの女性に出会いたいという気持ちはありましたが、3カ月1万円弱で、真剣に結婚相手を見つけなきゃ、という気持ちにはならない」と明かしたタケルさん。「それならもっと課金をして、結婚相談所に行くだろうし。ぶっちゃけかわいい子とちょっといい関係になれたらいいな的な下心もあった。恋人を作るための料金じゃなくて、まずは多くの女性とデートするための料金、という認識です」
課金している分、真剣な出会いを求めているのかと思いきや、そうではなかったとタケルさんは語る。だからこそ、アプリで交際し、結婚に至ったパートナーのナツコさんとアプリで出会ったのは予想外だったそうだ。
「ナツコとの初回デートの時、僕は正直『かわいい子とデートできてラッキー!』くらいの感覚でした。でも、デートややりとりを重ねていくうちに、ナツコがとても真面目で、真剣に僕と向き合ってくれていることが分かり、『この子とはちゃんとしなければ……』という気持ちに徐々になっていった感じですね。何人かの女性に会って思ったのは、無料だけど、女性のほうがアプリで真剣に出会いを求めているイメージ」
タケルさんの話を聞く限り、アプリで出会いを求めている男性の真剣度は、女性に比べると低そうだ。
「元を取りたい」10分ごとに自動で課金される、相席居酒屋での出会い
一方で、相席居酒屋に通う男性からはこんな意見も。「男友達と2人で相席居酒屋に行って、女性の2人組と別のお店に行くのを目標にしていました」
こう話すのは、リョウタさん(27歳)。彼はよく男友達と相席居酒屋に飲みに行っている。目的は「女性と飲むこと」だった。
「相席居酒屋は、最初の30分がだいたい1500円くらいで、その後、10分ごとに700円くらいずつ課金されていくシステム。いかに、早く気に入った女性と2軒目に移動するか、を考えていましたね(笑)」
気軽に立ち寄れる相席居酒屋は、彼らにとってカジュアルな出会いの場だ。
「アプリで課金して、1対1のメッセージのやりとりをして、会う……という過程が面倒なので、僕はいっぺんにたくさんの女性と出会える相席居酒屋が好きでした。1度行くと、アプリの月額料金は超えてしまいますが、出会いやすさを考えると相席居酒屋のほうが、コスパがいい気がする。お酒を女性と飲むのは楽しいし、その先に連絡先交換。交際があればラッキーという感じで」
リョウタさんは、相席居酒屋で出会った女性と2軒目のお店に行き、その後交際に至った経験もあるという。
また、相席居酒屋やマッチングアプリが「女性完全無料」であることに関して、こんな意見も。
「女性が完全無料だからこそ、男性もカジュアルに出会いを求められて、出会いの場が広がるのだと思います。むしろ女性は基本無料で出会えるのに、わざわざ高い料金の結婚パーティーに参加したり、有料のアプリを使っていたりすると『結婚にガチだな』というイメージがあって……そういう女性は敬遠してしまうかも」
婚活や出会いのサービスに課金をしていても、真剣度は低めな男性たち
今回は、タケルさん、リョウタさん、2人のアラサー男性の例を挙げたが、2人とも「軽い気持ち」でアプリや相席居酒屋を利用したことが分かった。タケルさんは「多くの女性とデートがしたい」、リョウタさんは「女性と飲みたい」、そこには“あわよくば”の下心も含まれている。2人に共通しているのは、課金したからといって、恋活や婚活に対する”真剣度”が増したわけではないということだ。課金した分、多くの女性に出会いたいと考えている。
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この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
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