世界を知れば日本が見える 第27回

なぜ日本人はX(旧Twitter)が好き? 世界と比べたSNS事情

世界各国のSNS利用状況を見ると、国によって人気のサービスが異なる点が興味深い。日本はX(旧Twitter)ユーザーが多いが、なぜだろうか。

SNSを巡る「国境」

こう見ると、メタ社が世界のSNSにかなり大きな影響力を持っていることが分かる。ユーザーデータを集めて広告を出すことで会社の利益の9割ほどを稼ぐメタ社だが、ここまで見てきたようなサービスに加えて、Threadsのような新しいSNSを立ち上げれば、より多くのユーザーとユーザーデータを手に入れることができる。そうなれば、さらに広告収益が増える。そういう意味では、Threads立ち上げの動機は分かりやすいともいえる。

複数のSNSを扱うメタ社(画像出典:mundissima / Shutterstock.com)

一方で、中国では、世界で使われているSNSは軒並み、国内で使用が禁じられている。FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、YouTubeは中国では使えないが、その代わりに、これらのSNSを模倣した中国版が普及している。
 

もっとも、世界に中国政府のメッセージを伝えるのには、世界でユーザーが多いアメリカのSNSを使う必要があるので、政府高官や外交官など一部の人たちだけが国外向けにこうしたSNSの利用が許されているという奇妙な状況にある。
 

世界がデジタル化し、通信の発達でサイバー空間には国境がなくなりつつあるといわれる。ただ各国の事情を見ていけば、国民性や国家の事情などによって、SNSを巡る「国境」は想像以上にはっきりと分かれていることが分かるのである。
 

この記事の筆者:山田 敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル

 
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