男女のすれ違いはなぜ起こるのか。2つのケースから考察
■ケース1:「好き」って言ってほしい女性と「一緒にいるからいいじゃん」と思う男性
同棲を始めて、恋人との関係にマンネリを感じているA子さん。前述の彩さんと同じく、最初は愛情表現をしてくれていた恋人が最近そっけないような気がして……。
A子「ねぇ、私のこと好き?」
男性「うん」
A子「最近『好き』って言ってくれないから、私のこと好きなのか不安になる」
男性「……一緒にいるじゃん」
A子「ちゃんと好きって伝えてよ!」
男性「一緒にいる=好き、ってことじゃん……」
■ケース2:ただ共感してほしい女性と、ちゃんとアドバイスしなきゃと思う男性
ショッピングデートを楽しむカップル。B子さんは、青と赤の2色展開のワンピースを気に入った様子。「どっちがいいかな?」と恋人にアドバイスを求めるが……。
B子「このワンピースすてき! 青と赤、どっちがいいと思う?」
男性「夏っぽいし、俺は青がいいと思う」
B子「そうかな? でも青のワンピ持ってるんだよね~」
男性「水色じゃなかった?」
B子「そうだっけ?」
男性「うん。これは濃い青だから似てないと思うけど」
B子「えー、そうかな……でも赤持ってないからやっぱり赤にしようかな。赤の方が青よりいいよね?」
男性「俺は青の方がいいと思う」
B子「え? なんで?」
男性「……もう、どっちでもいいんじゃない。(心の声:決まってるなら面倒だから聞かないで)」
B子「ちゃんと考えてよ!」
女性が、男性への「察してほしい」という態度をやめれば解決?
上記は筆者の周りから聞いた“あるある”なカップルエピソードである。
彩さんのエピソード、A子さん、B子さんのケースを見てみても、女性は「共感してほしい」「察してほしい」という気持ちを強く持っていることがよく分かる。
一方男性は、「ゼリーを買ってきて」と言われれば、ゼリーを買ってくるし、「青と赤どっちがいい?」と聞かれれば、「青」と答える。目の前の物事を端的に解決しようとするが、これが「そっけない!」「気が利かない!」などと、女性の怒りを買う原因になることもあるようだ。
では、この“すれ違い”はどのようにして解決していくべきなのだろうか。
彩さんは、冒頭のゼリー事件を経て、以下のように考えた。
「普段から太郎の気の利かないところにイライラしていたけど、太郎に悪気はない。“察して”をやめて、最初から『ゼリーと、ポカリと、おかゆをお願いします』と私が伝えるようにしました」
マメにLINEをくれなくなった、ということに関しても、「太郎はもともとマメじゃないのに、付き合い始めは無理してマメだったのではないか、と思うようになった」と語る。
彼氏は変わってしまったのではなく、元に戻っただけ
付き合いが長くなったカップルのコミュニケーションの悩みとしてよく挙げられるのが、この「恋人が愛情表現をしてくれなくなった」というものである。
特に女性は、この男性の変化に「変わってしまった」「冷められたのではないか」とひどく落ち込むことがあるが、必ずしもそうではないようだ。 彩さんは、言葉の愛情表現の減った太郎さんに対して、“変わってしまった”のではなく、“元の姿に戻った”と考えた。
実際、彩さんと太郎さんの関係は順調で、同棲を開始している。太郎さんは同棲開始=自分なりの愛情表現だと思っているようだ。
そんな彼の気持ちを理解しつつも、やっぱり言葉の愛情表現も大切にしたい彩さん。「記念日はちゃんとお祝いしてね!」と、太郎さんに提案し、互いの関係を良好に保っている。
“察して”はやめて言葉にすること。そして、相手の立場に立って、物事を考えること。
男女の“あるある”すれ違いは、少しの歩み寄りで解決するようだ。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
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