玉荷包荔枝(ユーハーバオリージー) 巾着ライチ
ライチといえば「玉荷包」というくらい有名な品種です。玉(翡翠・ひすい)のような果肉、荷包(巾着)のような形状であることが名前の由来となっています。
甘みと酸味のバランスが良く、口当たりが上品なのが人気の理由。種の周りには程よい渋みがあり、爽やかさも感じます。日本に輸出されるライチの多くはこの玉荷包荔枝です。
黒葉荔枝(ヘイイエリージー) 黒葉ライチ
台湾で最もよく見かける、昔からあるライチです。種が比較的大きく、可食部は玉荷包よりも少ないですが、濃いライチの香りと強い甘みに食べ応えを感じます。生産量も多く、出回る期間も長いので、食べる機会が多いでしょう。品種名を明記していないライチは、だいたいがこの黒葉荔枝。価格は1番お手頃です。
竹葉黒荔枝(ジューイェヘイリージー) 竹葉黒ライチ
嘉義県沙坑村原産で、沙坑ライチというのが本来の品種名ですが、市場では竹葉黒荔枝という名前で売られています。お手頃な価格ながら、種が小さくジューシーで甘みの強いおすすめの品種です。年によって流通量が違いますが、2023年は多く出回っている印象。冷やして食べるとおいしさがさらに際立ちます。
糯米荔枝(ヌオミーリージー) もち米ライチ
「もち米ライチ」というなんともおいしそうな名前ですが、実際果肉はモチモチというよりシャキシャキ。では何がもち米のようなのかというと「種」。一説では、種がもち米のように丸く小さいのが名前の由来だといわれています。一瞬ずっこけるようなネーミングですが、非常に人気のあるライチで、ほかの品種よりも酸味が少なく、甘くまろやかな風味があります。
鵝蛋荔枝(オーダンリージー) ガチョウの卵ライチ
鵝蛋(ガチョウの卵)荔枝(ライチ)という名前の通り、ガチョウの卵のように大きなライチです。一般的に、ガチョウの卵はニワトリの卵の3倍くらいの大きさだといわれています。では、ガチョウの卵ライチも同じく、通常のライチより3倍大きいのでしょうか? 台湾で最も一般的な黒葉ライチと比較してみました。
かなり大きいですね。1つの重さは83グラム。黒葉ライチが20グラムなので鵝蛋荔枝の方が4倍以上大きいことになります。
大きいけれど、甘さは控えめであっさりしているので、食べ飽きることはありません。果肉の柔らかさが心地よく、あっという間に食べきってしまいますが、値段も黒葉ライチの4倍なので、厳かに味わいたい品種です。
大丁香荔枝(ダーディンシャンリージー) 大丁香ライチ
ガチョウの卵ライチほどではありませんが、大型のライチです。甘さの中に酸味が際立ち、さっぱりした味わいが特徴。そのくせミルクのように甘い香りもあり、不思議な魅力を持っています。市場に出回る量はあまり多くないので、見つけたら即買いが基本です。
台湾にはまだまだたくさんの種類のライチがあり、どれもおいしいのですが、難点は食べられる季節が短いこと。ライチが市場に出回るのは、7月いっぱいとなります。
季節を逃しても大丈夫。ライチの仲間、龍眼(リュウガン)があります
ライチの旬を過ぎたからといっても、がっかりすることはありません。安心してください、次は龍眼の季節です。龍眼もライチと同じくムクロジ目ムクロジ科の果物です。種は大きめですが、形状も食感もライチに近く、甘さも充分。漢方感のある香りがまた爽やかで、気持ちを落ち着ける作用があるといわれています。
龍眼の季節は9月末くらいまで続くので、こちらは長く楽しめますね。
ここまでライチの魅力を紹介してきましたが、ライチは食べすぎると、のぼせ、ものもらいを引き起こすといわれています。とはいっても、食べ始めるとそのおいしさに理性を保てなくなるものです。「1日10粒まで」など明確に個数を決め、強い意志を持って食べることが大切です。
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この記事の筆者:小河 知惠子 プロフィール
台湾・台北に在住し、現地にいるからこそ分かる本場の台湾料理や食文化を研究、発信している台湾料理研究家。著書に『現地発・台湾ルーローハンとお米料理』(春陽堂書店)など。料理研究家やフードコーディネーターとしても、テレビや雑誌などで活躍している。