離婚がテーマなのに、いつの間にか物語は意外な顛末(てんまつ)に
『離婚しようよ』が面白いのは、大志とゆいが離婚の意志があるのになかなか実行できないところです。政治家である大志には選挙があり、また人気俳優のゆいにはイメージ戦略がありすぐには離婚できない。それぞれの事情があり、離婚を実行できない状況が続きます。
離婚のきっかけになる、それぞれの不倫相手にも問題があります。大志は、女性アナウンサー・三俣桜子(織田梨沙)と不倫が続き、“路チュー”を週刊誌に撮られた過去を持っています。この浮気が離婚のそもそもの原因ですが、三俣との絶妙な関係が続き次々と物語に新展開をもたらします。
また、ゆいの浮気相手になる恭二も問題を抱え続けます。働きもせずにパチンコで生計を立て、売れもしないアート作品を作り続ける……。誰が見てもクズ男ですが、夫の不倫や仕事に悩むゆいの心のよりどころになります。しかし、そんな恭二も心変わりすることで、さまざまなトラブルを生む存在になっていきます。
最大の見どころは「選挙」
そして、このドラマの最大の見どころなのが、離婚と深い関係にある「選挙」です。大志は、何の取り柄もない3世議員として描かれ、選挙区の愛媛5区で勝てたのは急死した父親とご当地で俳優として人気の高い妻・ゆいのおかげ。ゆいは、愛媛を舞台にした架空のドラマ『巫女(みこ)ちゃん』で大ブレークした過去を持ちます。愛媛では絶大な人気で、大志は「巫女ちゃんの旦那」として地元で知られる存在。
つまり、大志は選挙に勝つためにゆいの力が必要で、離婚がしたいのにできない事情を抱えます。こういった複雑な人間関係を、宮藤さんと大石さんがコミカルに描くことに成功。1組の有名人夫婦が巻き起こす、奇想天外な離婚劇を楽しめます。