謝罪内容に納得できない人は半数以上
このビデオメッセージが逆効果だったことは、All About編集部が5月18~22日に、全国10~70代の500人を対象に実施した「ジャニーズ事務所の性加害問題に関するアンケート」からも分かる。
謝罪内容に対して納得できないという回答は45.4%と半数近くになり、その中でも最も多いのが「知らなかったはずはない」(多数)という回答だった。他にも、「外圧に負けて、表面的に謝罪したようにしか見えない」(大阪府、30代女性)「『謝罪』という言葉を使っていなくて、『当社の見解と対応』という表現にしている。謝罪だと受け取ることは難しい」(東京都、40代男性)など、ジャニーズ事務所の「対応」に不信感が募っているという意見が多い。
ジャニーズ事務所がクリアすべき3つの「最低条件」
では、ジャニーズ事務所が信頼回復をするにはどうすべきか。これまで日本中から批判されるような企業の危機管理の経験もある立場から言わせていただくと、「最低条件」としてクリアしなくてはいけないのは以下の3つだ。
1. 第三者による調査報告書の公表
2. 藤島ジュリー社長の辞任、および外部から経営者を招聘(しょうへい)
3. 「ジャニーズ」の看板を下ろす
1に関しては報道によれば、ジャニーズ事務所は現役タレントへのイメージダウンや、「セカンドレイプ」になるかもしれないので及び腰だという。ただ、アンケート機能のあるデジタルツールなどを用いれば、身元を特定せずに被害実態を調査することも可能である。
また、そこまで被害にフォーカスを当てなくてもいい。この調査のポイントは、30年も続いた創業者の犯罪を、社内で本当に誰も知らなかったのか、週刊誌や裁判にもなったのに、なぜ社内では調査もしなかったのか、そこにはどんな力学が働いのか、ということである。
なぜこれを第三者が明らかにしないといけないのかというと、「不正を隠蔽(いんぺい)する芸能事務所」という悪いイメージが今後も定着してしまうのだ。そうなると、ジャニーズのタレントをテレビCMや広告に起用する企業が減る。番組側もキャスティングしずらい。ジャニーズ事務所は黒いイメージを引きずったまま経営も苦しくなるという負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
これを避けるためにも、2の「社長辞任」と3の「社名変更」は避けられない。