最近、衝撃のニュースが日本を駆け巡った。
歌舞伎役者の市川猿之助さんが5月18日に東京都目黒区の自宅で倒れているのが発見され、自宅内の別の部屋では死亡していた母親と、歌舞伎役者の父親・市川段四郎さんが意識不明の状態で見つかった。段四郎さんは搬送先の病院で死亡が確認された。猿之助さんは病院に搬送されたが命に別状はなかった。
両親の死因は「向精神薬中毒」
その後の報道では、「警視庁は19日、歌舞伎俳優市川猿之助さん(47)の東京都目黒区の自宅で倒れているのが見つかり死亡が確認された両親について、司法解剖の結果、向精神薬中毒で亡くなった疑いがあると明らかにした」(共同通信、5月19日付)という。
さらに猿之助さんは、警視庁の事情聴取より「両親と家族会議をして、一家心中を図った」疑いも報じられている。猿之助さんは「両親が睡眠薬を飲んだ」と語っているという。
猿之助さんの両親が飲んだ薬とは
向精神薬中毒の原因となる薬は、普通に薬局で手に入るものから、病院で処方されるものまでさまざまある。
『文春オンライン』の報道によれば、自宅には猿之助さんが病院で処方されてたまっていた睡眠導入剤があり、それを両親が飲んで意識を失ったということらしい。
猿之助さんの両親が薬物中毒で死亡したと報じられる中、筆者は、日常的に遺体解剖に従事し、薬毒物についての研究も行っている法医学者で日本大学医学部教授・奥田貴久氏に、薬物中毒の現実について話を聞いた。
奥田教授は、「最近では薬物を大量に摂取することによる死亡事件をニュースでよく目にしますが、以前に比べてカフェインや風邪薬など身近な誰でも手に入る薬物を大量に摂取するケースも少なくない」と語る。
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