3:『バブル』(パルクール)
美しくも退廃的な東京の街を舞台に、素早くダイナミックな動きでゴールを目指すパルクールのアクションが展開する作品です。日本のパルクールアスリート・ZENさんの重力を感じさせるリアルな動きも取り込まれ、ダイナミックなカメラワークも合間って、圧巻の映像体験に仕上がっていました。「普通には生きられない」マイノリティに属する若者たちの物語でもあり、偶然にもコロナ禍で一変してしまった“現実の世界”を連想させるところもあります。
正直に申し上げると、Netflixでの配信当初は、主人公にひたすら懐くヒロインの性格や、アップになると画風が変わる演出、現実離れした飲み込みづらい設定などに不評の意見も相次いでいました。しかし、劇場で公開されてからは、映像と音楽とのシンクロぶり、作品の背景を奥深く読み解いた上で高い評価をする声も多くなっています。家で見るときも、なるべく集中できるより良い環境を用意したほうが良いでしょう。
武田綾乃さんによるノベライズ版は、物語の理解が格段に深まるので強くおすすめします。Netflixで配信中のほか、Blu-rayソフトが2023年6月21日に発売予定です。
4:『バクテン!!』(男子新体操)
宮城県岩沼市を舞台に、男子新体操に情熱を燃やす高校生たちの青春を描いた作品。テレビアニメの劇場版ですが、仲間内の切磋琢磨や、挫折を経験しても再び歩み出す過程など、王道の青春スポ根の面白さがたくさん詰まっているおかげもあって、予備知識なく見ても全く問題なく楽しめるでしょう。
今はプロ制度がない男子新体操に対する熱い思い、何より男子新体操を「もっと知ってほしい」という願いが、迫力のパフォーマンスをはじめ、ストレートに努力を重ね、友達や先輩との関係を尊く描いた物語から大いに伝わってきます。豪華声優陣によるキャラクターたちがそれぞれ特徴的なのですぐに大好きになれますし、彼らの青春を追ってきたからこその感動がラストに待ち受けていました。
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