2:『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』
原作漫画は累計発行部数が7000万部を突破する社会現象級の超ヒット作。2021年公開の前作に当たる実写映画版は44億円を超える興行収入を記録しており、今回も引き続き格好良く見せる画作り、原作からそのまま出てきたようなキャスト、エモーショナルな話運びなど、漫画の実写映画化の「正解」を叩き出していると思える出来栄え。今作は、冒頭に分かりやすい“物語の始まり”の説明があるため、原作を知らない、前作を観ていない人でも楽しめる親切設計になっていました。
カリスマ性のある吉沢亮と、頼れる相棒役の山田裕貴の関係に萌える人も多いですが、今回は不良同士の軋轢(あつれき)が描かれることが重要。仲違いしてしまった理由は冗談のような最悪の出来事であり、互いに納得できるはずもない悲劇なのですが、永山絢斗と村上虹郎の熱演のおかげで大きな説得力がありました。仲間だったはずの彼らが傷つけあってしまう関係性は切なくはありますが、だからこそ「かつての絆を思い出す様」がグッと来るのです。
なお、この『運命』はいわゆる“前編”であり、物語の大部分は6月30日公開の後編である『決戦』へと「おあずけ」状態になっています。前後編に分けたことには賛否両論はありますが、『決戦』では悲劇性が強いからこその、エモーショナルな関係性がつづられているので、ぜひ楽しみにしてほしいです。
3:『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
ご存じ、世界的ゲームキャラクターであるマリオを主人公に迎えたアニメ映画であり、すでに全世界で1000億円を超える興行収入を記録している超大ヒット作。実は、今回のマリオは「異世界からやってきた」立場であり、ピーチ姫とは初対面。そして、ピーチ姫が国の未来を担う為政者として自ら戦う「強い女性」キャラクターになっているのが現代らしいアレンジでした。
マリオとピーチは、前述した『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にも近い、いわゆるマッチョなタイプではない男性と、毅然とした力強さを持つ女性による、恋愛ではない関係性。その2人の連帯感が魅力的なことに加えて、はぐれてしまったルイージのために奮闘するマリオという「兄弟愛」もしっかり推されているのです。
加えて、クッパにも「ひどいことをしているはずなのに憎めない」魅力があります。製作は『怪盗グルー(ミニオンズ)』や『SING/シング』シリーズで有名なイルミネーション。良い意味でクレイジーでハイテンションな映像表現も圧巻で、小さな子どもから大人まで楽しめる優れたエンターテインメントに仕上がっていました。
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