「高学歴ほど高収入」になるカラクリ
働く現場には「学歴よりも実力」という考えがちゃんと定着しているにもかかわらず、なぜ収入面になると「高学歴ほど高収入」という現実があるのか。
まず、1つには高収入を得られるビジネスパーソンが多く在籍するような、経営基盤のしっかりした大企業の多くが「前例主義」に取りつかれているケースが多いことがある。
このような大企業はこれまで過去数十年にわたって、名門大学や偏差値の高い大学の出身者を多く採用してきたので当然、経営幹部やマネジメント層にそのような高学歴エリートがたくさんいる。
彼らはみな同じような受験勉強を勝ち抜いて、同じような大学で青春を過ごし、同じような就職活動を乗り越えてきたのでウマが合う。価値観も同じなのでチームとして意思疎通がしやすい。そうなると当然、人事も新卒採用も「同じような人」が優遇されていく。つまりは、名門大学や偏差値の高い大学の出身者だ。
大手企業にもある「学歴フィルター」
分かりやすいのが、「学歴フィルター」だ。ある企業の採用担当者が偏差値の低いいわゆる「Fラン大学」の学生を書類選考でふるいにかけていたことがちょっと前に注目されたが、その後、多くの大企業の人事担当者から「当たり前」という声が続々と上がっている。
例えば、ビジネス系オンラインメディア「ITmediaビジネスオンライン」の記事には、金融業の人事担当者がインターンシップに参加する学生を選考する際の本音が掲載されている。
「当社の採用実績校や優秀な学生が多い旧帝大などの国立大学や早慶の学生などに参加してもらいたいという気持ちになる」
当たり前の話だが、人事担当者もサラリーマンなので人事評価される。「まったく聞いたことがない大学だけれど、何となく新しい感じがするから採用!」なんて独断で決めて、もしその新卒がまったく使いものにならなかった場合は当然、「お前、何でこんなの採用したの?」と自身のミスになってしまう。
そうなると多くの人事担当者はどういう発想になるのかというと、「前例主義」に流れる。つまり、社内でたくさん採用実績のある大学や、偏差値の高いような難関大学の出身者を選びがちなのだ。
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