世界を知れば日本が見える 第19回

ガーシー容疑者「国際手配」も逮捕の可能性が低いワケ、鍵となるのは……

ガーシー元参院議員こと東谷義和容疑者は、なぜ滞在先にドバイを選び、現在も滞在し続けられるのか。捜査権や逮捕権がない国際刑事警察機構(ICPO)が動く中、今後逮捕の鍵となるのは……。

ガーシー元議員がドバイに滞在し続けられるワケ

UAEは法制度なども不透明な部分が多い。タックスヘブンの同国は、例えば非公式金融網として知られ金の流れがつかめないシステム「ハワラ」が普及していることで、マネーロンダリング天国となってきた。しかも土地を購入すれば長期滞在ビザを獲得できるので、犯罪者は不動産を購入してから転売するなどして、犯罪から得た金を洗浄した上で、ドバイに滞在し続けることができた。

多くの富裕層が滞在するドバイ

ガーシー元議員も何らかの手段で長期滞在ビザを獲得しているという。そのため、UAEのような国であれば、旅券が無効になってもドバイに引き続き滞在できる可能性がある。国民の9割が外国人であるドバイで、当局が自発的にいちいち旅券をチェックすることはほとんどない。
 

逮捕の可能性は? 大物犯罪者などが摘発されたケースも

ただ最近になって、欧米の麻薬密売人や大物犯罪者などが欧米諸国の要請で摘発されたケースも報告されている。UAE側もあまりに国のイメージが悪くなりすぎるのは避けたいようで、大物犯罪者などのケースでは欧州の捜査当局に渋々協力しているようだ。
 

つまり、国家による要請があれば今のUAEでは、当局が動く可能性は否定できない。その場合、日本からUAEに特別な手配を要請することになる。ただ、ガーシー元議員のケースは元国会議員ではあるが、犯罪の質からしてそうした大物犯罪者のようなケースになるとは考えにくい。
 

ちなみにタイの元首相で、汚職事件容疑とクーデターによって2006年に国外に逃亡したタクシン・シナワット氏は今ドバイで亡命生活を送っている。しかもガーシー元議員同様に、パスポートもタイ政府によって失効させられている。それでもタクシン氏は他の国からパスポートを入手して、現在もドバイを中心にビジネスを続けており、他国に移動もしている。
 

ガーシー元議員のケースでは日本側はさらに、ICPOに国際手配をして逮捕を目指すとしている。だが実際は、ICPOという組織はそれほど力を持っていない。
 

>次ページ:ICPOとは? 捜査権や逮捕権はどうなっているのか
 

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