ガーシー元参院議員こと、東谷義和容疑者の動向が注目されている。というのも、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで暮らしていると見られる同氏は国会議員を除名されてから、警視庁捜査二課によって暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)の容疑で指名手配されたからだ。
さらに警察庁は外務省に働きかけて、4月13日を期限に旅券返納命令を発令した。これにより、ガーシー元議員はパスポートが使えなくなり、滞在先では不法滞在となる可能性がある。加えて、警察庁は国際刑事警察機構(ICPO:インターポール)を通じて国際手配をすると報じられている。
今後、ガーシー元議員はどうなってしまうのだろうか。UAEの現実や国際手配などの実情を踏まえて、今後の行方を考察してみたい。
なぜ滞在先にドバイを選んだのか?
そもそもガーシー元議員はなぜ滞在先にドバイを選んだのか。ドバイは、UAEの7つある首長国のうちの1つで、オイルマネーなどでかなり潤っている国として知られる。超高層ビルのブルジュ・ハリファや、人工島でできたパーム・ジュメイラなどが有名である。
実はUAEの人口の9割は外国人労働者などで、彼らの労働力と、さらには投資家などの存在が不可欠になっている。1%の国民は公務などから高給を得ながら暮らしている。そもそも、これまでUAEは株式などの売却に税金のかからない「タックスヘブン(租税回避地)」で、世界中から金が集まる場所でもあった(2023年6月から9%の法人税が課されることになったので、もうタックスヘブンとは呼べなくなるが)。
そんなドバイには別の顔がある。世界中で国を追われた亡命者や、逃亡する犯罪者などが、警察などの捜査をあまり気にすることなく滞在できるのである。というのも、ドバイ政府が外国人犯罪者などの摘発は積極的には行わない上に、犯罪人の身柄引き渡しもあまり行わないため、「犯罪者のパラダイス」と揶揄(やゆ)することもあったからだ。
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