明治24(1891)年に英国で製造後、輸入され、日本各地で活躍した2109号蒸気機関車(B6とも呼ばれる)は現在、日本工業大学(埼玉県)の工業技術博物館で保存されている。産業遺産に認定され、登録有形文化財にもなっている貴重な車両だ。しかも修復され動態保存機でもある。大学構内の短い線路上とはいえ、汽笛を鳴らし、煙を吐いて走行するのだ。
2023年も、2月18日に展示走行を一般公開した。その模様をレポートしよう。
イギリス生まれの名機2109号機
この機関車は、1891(明治24)年にイギリスのダブス社で製造され、私鉄の日本鉄道が輸入した蒸気機関車。2023年で何と132歳を迎える。日本鉄道が国有化されると、2100形の2109号機となり、東北本線や中央本線などで活躍した。似たような系列の機関車とともにB6形とも呼ばれる。引退後は岐阜県の西濃鉄道に払い下げられ、石灰石輸送の先頭に立って余生を送った。1966年まで頑張ったが、ディーゼル機関車導入により廃車。しばらくは野ざらし状態で留置されていた。しかし、その歴史的価値が認められ、静岡県にある大井川鐵道が引き取り、日本のSL動態保存の先駆けとして、整備の上、千頭と川根両国間で運転された。
その後、大井川鐵道は本格的なSL動態保存運転を行うこととなり、2109号機は引退し、静態保存に切り替えられた。1992(平成4)年に、産業考古学会より産業遺産に認定されると、再整備の後、再び動態保存となり、保存場所が大井川鐵道から日本工業大学に変わった。
日本工業大学では、キャンパス内に敷かれた120メートルほどの線路上を走ることとなり、適宜、走行展示を行うようになった。2008年には文部科学省より登録有形文化財に指定されている。