初代「iPhone」がオークションで数百万円、日本未発売の端末は何が画期的だったのか

未開封の初代iPhoneが、海外のオークションで高額落札される事例が相次いでいるようです。なぜ初代iPhoneがそれだけ人気なのか、現在のスマートフォンに与えた影響とその性能をあらためて確認してみましょう。

初代iPhoneの性能とはどの程度なのか?

では初代iPhoneは、一体どの程度の性能を備えていたのでしょうか。さすがに筆者も初代iPhoneは保有していないことから、そのスペックを現在のiPhoneなどと比べて確認してみたいと思います。
 

最も分かりやすいのがストレージでしょう。初代iPhoneのストレージは4~16GBとされていますが、これは現在のスマートフォンでいうと、ストレージではなくRAMと同程度の容量。iPhoneシリーズのRAMは公表されていませんが、ストレージ同士で比べてみても、最新のiPhoneの最上位モデル「iPhone 14 Pro」シリーズはストレージが128GB~1TBと桁違いであることが分かります。

初代iPhoneのストレージ容量を超えるRAMを搭載したスマートフォンは多く存在しており、エイスーステック・コンピュータのゲーミングスマートフォン「ROG Phone 6 Pro」に至っては18GBのRAMを搭載している

カメラも初代iPhoneは1眼で、画素数も200万画素。一方でiPhone 14 Proのカメラは3眼に増えていますし、最も性能が高い広角カメラの画素数は4800万画素ですから、画素数だけで言えば初代iPhoneの24倍の性能ということになります。
 

そしてCPUに関してですが、初代iPhoneが搭載していたCPUは、ソフトバンクグループ傘下である英Arm社の「ARM11」という設計を用いたものとされています。この設計は比較的新しい事例で言うと、電子工作などに用いられるシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」シリーズに搭載されていたチップで過去採用されていたものになります。

シングルボードコンピュータの「Raspberry Pi」シリーズには以前、ARM11の設計を採用したチップを搭載していたものがあった。写真の「Raspberry Pi 3 model B」はより高い性能を持つCPU設計を用いたチップを搭載しており、購入当時の値段は5000円台だった

本記事執筆時点では半導体不足の影響による品不足で市場価格が大幅に値上がりしているRaspberry Piシリーズですが、それ以前はARM11より性能の高いCPU設計を採用したチップを搭載したものが数千円程度で購入できました。そうしたことを考えると、17年前のiPhoneの性能を現在の価値として理解しやすいのではないでしょうか。


佐野 正弘 プロフィール
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。


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