「アレ」の次にジワジワきてる? 阪神タイガース・岡田彰布監督の口グセといえば……

ネット社会にあふれる「シン・日本語」をプロライター兼コラムニストの山田ゴメスが考察する「山田Gのシン・日本語辞典」。シリーズ【vol.17】は、阪神タイガース・岡田彰布監督が連発する“口グセ”について。

SNSで話題の新語からメールマナー、大人の常識では解読できない若者言葉まで。増殖し続ける「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
 

vol.17 阪神・岡田監督の口グセ、「アレ」の次にくるのは何だ?

2023年チームスローガンは、おなじみの“アレ”だが(阪神タイガース公式サイトより)
「プロ野球選手は秋季キャンプを終えてからオフをどう過ごせばいいか?」と質問された際の、岡田彰布監督の回答。

「いやいや、それはまあ、みんなもう、個人個人やからな。おーん。そんなん、言わんでもやってなかったら、そんなもん。そんなんお前、プロやねんからなあ」

考察

昨年末に我が愛する阪神タイガースが発表した今年2023年度のチームスローガンが、ネット上をにわかに賑わせている。そのスローガンは、なんと!
 

「A.R.E.」
 

……らしい!! ローマ字読みするところの「アレ」とは、このたび阪神タイガースの監督に2度目の就任を果たした岡田氏の“口グセ”の1つとして有名なのは、もはや説明するまでもない。2022年11月26日に甲子園球場で開催されたファン感謝デーでも、約3万8千人の観客を前にした就任あいさつで、
 

「選手全員の力を結集して『アレ』に向かってまい進します!」
 

「シーズンで『アレ』を勝ち取って、1年後、またこの場所で『アレ』の喜びを(ファンの皆さまと)分かち合いたいと思います」
 

……と、怒涛(どとう)の「アレ三連発」で、なんとなく(?)“優勝”を誓い、日本全国の虎党が歓喜に包まれたばかりであった。
 

>阪神ファンも「アレ」を徹底?
 

ただし、正確な読み方は「えー・あーる・いー」であるそうで、
 

「個人・チームとして明確な目標『Aim!』に向かって、野球というスポーツや諸先輩方に対して敬いの気持ち『Respect』を持って取り組み、個々がさらにパワーアップ『Empower!』することで最高の結果を残していく」
 

……といった意味が込められているという。
 

こじつけ感満点の、実に苦しい言葉遊びではあるものの、「関西人の商魂たくましさ」には、あらためて舌を巻いてしまった。岡田監督本人も
 

「いくつか候補はあったんやけど。まぁアレって(オレも頻繁に)言ってるから。語呂もええし」
 

……とニヤリと笑いながらイチ押しした……とのうわさもまことしやかに流れている。
 

さて。この「アレ(A.R.E.)」とともに今年、ジワジワとプチブレイクしつつあるもう1つの岡田監督の“口グセ”をご存じだろうか? そう!
 

「おーん」
 

……である。野球に、阪神タイガースにイマイチ明るくない皆さまに向けて、念のためその実例をいくつか記しておこう。
 

「理想はだって1年間ローテーション守ってな、おーん。そら当然2桁でな。貯金つくれるピッチャーやで、開幕も、そやなー、おーん」
(※「開幕投手の理想像は?」と質問された際の回答) 
 

「12月はもう、ゴルフばっかりやってた。そんなん、おーん。まあ、1月入ってからやな、動き出したんは」
(※「現役時代、12月はどう過ごしていた?」と質問された際の回答)
 

「今年だけやろ。しゃあないけど、今年はな、おーん、なあ、おーん。だから3キロぐらい痩せてたわ」
(※「今年のオフは岡田監督もお忙しかったでしょ?」とねぎらわれた際のリアクション)
 

相も変わらずのリズミカルかつ破壊力抜群なトークである。ただでさえ岡田監督の(タメ口になったときの)会話内容は、音声で聞いても解読難度が相当高いのに、あらためてこう活字に起こしてみると……なにを言っているのか、さっぱり分からない。
 

ちなみに、「おーん」の発音は「お」にアクセントをつける。また、「お」と「ん」の間は「〜」みたくあまり揺れない。したがって「―」が正解なのだ。
 

一昔前だと、スポーツ新聞も夕刊紙も「おーん」を抜いた後、それなりに意味が通じる文章に“通訳”していたが、最近は「おーん」をイキにした、いわゆる“まんま”な原稿もチラホラ目にするようになってきた。「読みやすさ」よりも「面白さ」を取ったってことなんだろう。
 

この「おーん」の正体とは……とどのつまり「〜だね、うん」「〜だと思うよ、うん」「〜ですね、はい」「〜でしょう、ええ」……などのしゃべり口調の「うん」「はい」「ええ」に該当するもので、岡田監督の場合は(おそらく)「うん」がいささか間延びしたような格好で「おーん」に聞こえてしまうのだ……と推測される。
 

そして、こうした「会話中、無自覚につい多用してしまう“口グセ”」は、なにも岡田監督だけではなく、「しゃべりのプロ」であるアナウンサーやタレントのような職に就く者以外の誰もが、矯正されずに1つや2つは持っているものなのだ。
 

例えば、筆者はたまにテレビやラジオに出演した際、そのオンエアをチェックすると、「もう」「そりゃ」「そんなん(さ)」……という単語がやたら耳につく。緊張すればするほど、熱くなればなるほど、無意識のうちに口グセとして連発してしまうのである。
 

あと、サッカー日本代表の吉田麻也選手をはじめとするアスリートが、ヒーローインタビューなどで接頭語として頻繁に使用しがちな「そうですね〜」も同様。
 

もし、なにかのきっかけで自身の会話をチェックできる機会に恵まれたならば……1度そこから“不必要”な“口グセ”をピックアップし、それ(ら)を省略してしゃべる訓練をしてみることをおすすめしたい。そんなちょっとした気配りだけで、あなたのトークは、うんとブラッシュアップされ、分かりやすくなるに違いない。もちろん、岡田監督のように、その“口グセ”がゼニになるレベルの面白さを秘めているレアケースは除いて……なんだが(笑)?

>阪神ファンも「アレ」を徹底?
 

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