世界を知れば日本が見える 第5回

なぜ日本が標的に? ロシア系のサイバー攻撃集団「Killnet」の目的とは

行政情報のポータルサイトやニコニコ動画、東京メトロなども標的となった今回の攻撃。一体何が起きているのか、イチから解説していく。

DDos攻撃とは? キルネットの目的は?

DDos攻撃とは?(画像はイメージ)

今回の攻撃はDDos(ディードス)攻撃と呼ばれる手法だった。DDos攻撃というのは決して巧妙なものではなく、それなりに対策をしていれば、市民の生活に多大な影響を与えるようなものではない。システムが破壊されたり、何日もサイトが利用できなくなったりすることもないし、今回被害を受けたような大きな組織なら当然のようにDDos攻撃へのセキュリティ対策も行っているはずだ。
 

DDos攻撃とは、大量のデータを送りつけてサーバに負荷をかけるという昔からあるサイバー攻撃だ。近年では地下サイトなどでDDos攻撃を安価に「購入」できるほどで、「破壊」よりも「嫌がらせ」というイメージでいいだろう。
 

攻撃されると、例えば数時間接続できないといった程度の被害が出る。松野博一官房長官が7日の記者会見で「情報漏えいは現時点でないと説明した」と言うが、DDos攻撃なので、情報が漏えいすることは考えにくい。
 

このキルネットという集団は、おそらく目立ちたいのであろう。その証拠に、同組織のTelegramには、日本でニュースに取り上げられているのを「日本の速報」などと紹介している。キルネットは他の「ハクティビスト(ハッキングとアクティビスト=活動家をくっつけた造語)」などとも連携しながら、ロシア支持を示して注目を浴びるために攻撃を実施しているようだ。


>次ページ:キルネットとはどういう組織なのか

 

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