「ハンバーガー100円に値下げするんなら……」
この近年の業績をみると、売上高のピークは2008年度の4064億円、営業利益のピークは2011年度の282億円強でその後は2期連続減収減益となるので完全にマイナストレンドにあった。そんな消耗戦に拍車を掛けたのが、「値下げ」だ。
2014年4月、消費税率が5%から8%に上がったタイミングで、マクドナルドはハンバーガー120円を100円と大幅に値下げをした。チーズバーガーも150円から133円、人気の「100円マック」も据え置きなので実質値下げだった。
これは消費者にはうれしいが、現場からすればかなりモチベーションが下がるだろう。消費税が3%上がるのだから当然、従業員やバイトの生活費は3%苦しくなる。しかし、マックでは税が上がっている中で、幅広い製品で価格を下げるのだからかなり「企業努力」をしなくてはいけない。当然、「消費税が上がったので賃金も上げますね」とはならない。
収入が安定している社員従業員ならばいざ知らず、日本全国のマクドナルド店舗で働いていたパートやアルバイトの皆さんはきっとこんな釈然としない不満を抱えていたはずだ。
「ハンバーガー100円に値下げするんなら、俺たちの時給をあげてくれよ。消費税アップで生活が苦しいんだから」
このような「低価格路線」による現場のモチベーション低下が、相次ぐ異物混入につながった可能性はないだろうか。実際、この不祥事ドミノの影響でマクドナルドは2016年に過去最大の赤字に転落するのだが、そこからV字回復をする。
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