恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第55回

太宰治は鉄道がお好き? ゆかりの地を巡ってみた ~6月19日は「桜桃忌」~

太宰治と鉄道との関りは意外に強い。晩年を過ごした三鷹では中央線の跨線橋に足しげく通っていたし、短編「列車」では、汽車に関する細かい描写に驚く。また、郷里ではゆかりの鉄道車両や駅が点在している。そんな彼と鉄道にまつわる話題を、6月19日の「桜桃忌」を前にまとめてみた。

風の町・蟹田

蟹田駅ホームに立つ木製のボード


太宰治は小説『津軽』の中で蟹田(青森県)について、「蟹田ってのは風の町だね」と書いている。これにより蟹田の名前が広く知れ渡ったとして、JR蟹田駅のホームには木製の板にこの名文句を記して太宰治の名前とともに訪れる人にアピールしている。
 

まるで太宰治が列車で降りたって語ったかのように思われるが、彼は蟹田に列車で訪れたことはない。いや不可能だったのだ。なぜならば蟹田駅の開業は、1951年のことで、太宰はすでにこの世にいなかった。津軽線の開業は意外に新しいのだ。
 

蟹田駅は津軽海峡線の特急列車が停車する重要な駅だったが、北海道新幹線開業とともに特急列車は全廃となってしまった。現在は、青函トンネル開業前の静かな駅に戻っている。
 

「走れメロス号」

「走れメロス」号のヘッドマークを掲げるディーゼルカー


教科書にも載っている太宰の小説『走れメロス』。彼の故郷を走る津軽鉄道のディーゼルカーの愛称になっている。この形式は全部で5両あり、それぞれに『走れメロス』と書かれている。
 

太宰治が執筆した作品の中から選んだ名言を車内に掲示して彼の世界観を楽しむ「太宰列車」も毎年のように企画され、津軽鉄道名物のストーブ列車と並んで好評を博している。
 


>次ページ:芦野公園駅の情景

 

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