偏差値やブランドより「わが子を見てくれるか」
一方、神奈川の横浜エリアは交通アクセスがよく、東京とほぼ一体の進学圏と捉えられています。そのため、今も都内の学校を積極的に受験する家庭が多く、特に女子では都内の共学校を目指すケースが増加しています。
ただし、単に「共学だから」という理由だけで選ばれているわけではありません。志望校選びの決め手となっているのは、授業についていけるか、学習フォローが手厚いかといった「指導体制の充実度」です。
共学校の人気が高まるなかでも、特に面倒見のよさを強みとする学校に人気が集中しています。千葉や埼玉で手厚い地元校が選ばれている現象と、根底にある親心は同じだといえます。
こうした人気校の変化の背景にあるのは、偏差値やブランド名よりも「わが子をちゃんと見てくれるか」への関心の高さです。自習室での学習サポートやチューター制度など、きめ細かく指導する学校が強い支持を集めています。
また、高校受験で都立や県立の進学校を目指していた層が、中学受験へ流れているという指摘もあります。大学進学への意識が高い家庭ほど、早い段階から手厚い環境で学ばせたいと私立中学を選ぶ例が増えているのかもしれません。
高校授業料の実質無償化など、私立に通わせる負担を軽減する制度の拡充も、私立中学を現実的な選択肢にした側面はあるでしょう。ただし、中学受験や中学の学費そのものが無償化されるわけではないため、ここは分けて考える必要があります。
過熱する首都圏中学受験において、「わが子に合い、勉強をしっかり見てくれる学校」を求める親心が、埼玉をはじめとするエリアでの「1月合格・即終了(県内完結)」という選択を力強く後押ししているといえそうです。
この記事の執筆者:
杉浦 由美子
ノンフィクションライター
キャリア20年の記者。『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。
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