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給与を「全員一律」で下げる企業は3分の1
さて、60歳時の年収見直しの基準は、3種類に大別できます。「全員一律基準」が全体の3分の1、役職や等級、人事評価成績、職種などの「グループごと基準」が約6割、「個別対応」が1割弱です。
「グループごと基準」や「個別対応」であれば、これまで通りの役割・責任を担う人は、企業内では相対的に年収低下率が小さくなりそうです。
あくまで、企業内における相対的なものでしかありませんが、各人の仕事の状況をある程度配慮することが可能です。
一方、「全員一律基準」の企業でも、「ほぼ同様の職務」を担当する人が4割を超えます。
全員一律基準では、仕事が変わらない人も軽くなる人も低下率が同じになるので、役割・責任が変わらない人にとっては、不条理や不平不満を感じる状況になりそうです。
そのような人が4割を超えるとなると、企業にとっても由々しき事態です。企業は深刻に受け止める必要があります。
「全員一律なら公平」は実際には悪平等
それにもかかわらず、なぜ「全員一律基準」を採用する企業が3分の1もあるのでしょうか?
実際は悪平等でしかないのですが、「全員一律なら効率的で公平だ」という人事部の安直な判断であり、怠慢です。
厳しい言い方をしましたが、現実問題として企業側の事情を考慮すると、「全員一律基準で年収を引き下げたくなるだろうなぁ」というケースもなくはありません。
それは、50代以下の社員の給与があまりに年功的で、管理職も高度専門職も、あるいは担当者であっても大差ないという企業です。
もともとの年収が役割・責任を反映していないので、今さらそれを持ち出してもそれほど意味がない、みんな一律に下げてしまえばいいだろうというわけです。
とりあえずの60代処遇施策としてわからなくもないですが、本来は、まず50代以下の社員の処遇制度を適正なかたちに整えておくべきです。やはり、人事部の不作為が問われます。
著者:藤井 薫(パーソル総合研究所 上席主任研究員)
電機メーカーの人事部・経営企画部を経て、総合コンサルティングファームで20年にわたり人事制度改革を中心としたコンサルティングに従事。その後、ソフトウェア開発企業の取締役を経て、2017年にパーソル総合研究所入社。2020年4月より現職。



