「新NISA満額」「30代で資産2000万円達成」——SNSでこんな投稿を見て、焦りや落ち込みを感じたことはありませんか?
ファイナンシャル・ウェルビーイング研究者の櫻井かすみさんによると、他人との比較で生まれた不安からお金を動かすと、安心するどころか「不安通貨」が増えてしまうといいます。
「不安通貨」とは、不安をまとったまま使われるお金のこと。この記事では、櫻井さんの著書『不安通貨 貯金や投資で消えない「お金の不安」を最新科学で解決』(Gakken)より一部抜粋し、SNSによる比較が、お金の不安を増幅させる仕組みを紹介します。
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SNSが他者との比較を生み、比較が不安を増幅させる
現代はお金に関する情報が、SNSをはじめネット上から手に入る時代です。
NISAやiDeCoといった投資、節税、保険。調べれば調べるほど情報は出てきますし、専門家の解説も、誰かの成功例も、誰かの失敗談も、いくらでも取りに行けます。過去において、これほど情報が手に入りやすい時代はありませんでした。
それでもなお、迷いが消えないのはなぜでしょうか。これは知識が増えるほど、他人の基準で判断する場面が増えてしまうからです。
SNSで増えた「比較の相手」と「比較の頻度」
心理学では、自分と他者を比べることで自己評価を行う心の働きを「社会的比較」と呼びます。アメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガーが提唱したこの理論によると、人が自分の能力や意見を他者と比較することで自己評価を行う心理学の理論を指します。
例えば、学校のテストや部活動での成績や偏差値などがいい例。これ自体は自然な心理メカニズムですが、SNSの普及によって比較の相手と頻度が爆発的に増えたことが、問題を大きくしています。SNSの利用頻度が高いほど、自分より「上」に見える他者の存在が増え、主観的な不安が有意に上昇するという研究報告があります。
また、かつてであれば、比較の対象は身近な友人や同僚に限られていました。ところが現在では、スマートフォンを開くだけで、年齢も職業も環境も異なる無数の人々の「成功の断片」が目に飛び込んできます。



