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未完成のiPhoneが、完成度の高いガラケーを抜いた
わかりやすいのは、iPhoneと日本のガラケー(ガラパゴス・ケータイ)の違いかもしれない。
2007年に登場した初代iPhoneを、僕はハワイでのデュアルライフ(二拠点生活)を始めた頃に買って使っていた。すごい予感はした。でも、いまのように仕事で使える端末ではなかった。App Storeはまだなく、アプリを自由に追加することもできない。動画も撮れない。コピー&ペーストすらできなかった。
一方、当時の日本のガラケーは本当にすごかった。ワンセグテレビ、おサイフケータイ、赤外線通信、高画質カメラ。日本の優秀な技術者たちは、考えうる機能を小さな端末に詰め込み、完成度の高い製品を作り上げていた。
ハードウェア単体で見れば、当時のガラケーは世界最高峰だった。
でも結果は、未完成だったiPhoneが、完成度の高いガラケーを一気に抜き去った。
ガラケーは、買った日が完成形だった。iPhoneは、買ったあとから進化していく器だった。
これは製品だけの話ではない。完成した自分になってから出ようとする人は、出るころには環境のほうが変わっている。未完成のまま出て、試しながら変わる人だけが、次の景色を見ることができるのだ。
人生に「完成形」はない
LinkedInの創業者リード・ホフマンは、「パーマネント・ベータ」という言葉を使った。人は完成品ではなく、常にアップデートされ続ける存在だ、という考え方である。
この言葉を知ったとき、僕はとても腑に落ちた。
人生に完成形はない。
若い頃は、どこかに完成形があると思っていた。いい会社に入る。独立する。自由なライフスタイルを作る。そうやって一つずつ積み上げていけば、いつか完成した自分になれるような気がしていた。
でも、そんな日は来なかった。
むしろ、年齢を重ねるほど、人生は完成から遠ざかる。やりたいことも、身体も、人間関係も変わっていく。
50代になれば、もう自分のことは大体わかっている。そう思いたくなる。でも本当は、50代からでも新しくわかることがいくらでもある。
向いていると思っていたことが合わなくなることもあれば、自分には関係ないと思っていたものが、急に人生の中心に近づいてくることもある。
だから人生後半こそ、完成形を決めすぎない方がいい。これはいい加減に生きるということではない。いまの自分に合うかどうかを、試しながら確かめていくということだ。
この書籍の執筆者:本田直之 プロフィール
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長。シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQ上場に導く。現在は日米のベンチャー企業への投資育成事業を行い、各社の社外取締役や顧問を兼務。ハワイと東京に拠点を構え、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。著書・監訳書は「レバレッジ」シリーズなど78冊、累計300万部を突破。



