「何をするにも面倒」「新しいことを覚えるより、いつものやり方で済ませたい」——そう感じることが増えていませんか? 単なる性格の変化に見えて、実は「感情の老化」が始まっている可能性があります。
実業家・著述家の本田直之さんは、老年精神医学の和田秀樹さんの著書を引きながら、老いは体力や記憶力より先に、感情や好奇心から始まると指摘します。
この記事では、本田さんの著書『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA)より一部抜粋し、「感情の老化」に表れる変化と、人生後半に必要な戦略について紹介します。
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若さを取り戻すのではなく、戦略を変える
かつての僕は、人生後半に大事なのは「30代の自分を取り戻すこと」だと思っていた。でも、それだけでは足りない。身体は土台にすぎない。本当に変えるべきは、戦い方だった。
体力も、筋力も、感情も、できるだけいい状態に保つ。これは当然大事だ。ただし、それは若い頃に戻るためではない。
後半戦の新しい戦い方を実行するための土台なのだ。
若さを取り戻そうとするだけでは、どこかでズレていく。
必要なのは、若さの再現ではなく、戦略の更新だ。
人は、まず感情から老いる
老いは、どこから始まるのか。
多くの人は、まず身体を思い浮かべる。体力が落ちる。筋力が落ちる。疲れやすくなる。見た目が変わる。
あるいは、記憶力を思い浮かべる人もいる。名前が出てこない、物忘れが増える、新しいことを覚えにくくなる。
でも、老年精神医学の和田秀樹さんは、別の見方を示している。
和田さんに、『50歳の分岐点』(大和書房)という本がある。老いというと、普通は体力や記憶力を思い浮かべる。でも和田さんは、老化は感情から始まると書いている。
これには、脳の仕組みの裏づけがある。
意欲や感情をつかさどる前頭葉は、40代から50代にかけて縮み始めると言われている。物忘れの正体である海馬の衰えを実感するのは、もっと後だという。
つまり、多くの人が「老化の始まり」だと思っている記憶力の低下より先に、感情のほうが静かに錆びついていく。
老いは、弱ってから気づくのでは遅い。まだ大丈夫なうちに、どういう変化が起きるのかを知っておく。それだけで、対応はまったく変わるのだ。
身体や顔の老化には、多くの人が気づく。体重が増えた、肌がたるんだ、疲れやすくなった、筋力が落ちた。こういう変化は、数字や鏡で確認できる。だから対策もしやすい。
しかし、意欲や感情の老化には気づきにくい。



