(質問)
お盆に帰省したら、地元の友人が早々にマイホームを建てていたり、子どもが2人いたりして、自分の人生と比べて焦りました。都会で日々仕事だけしていていいのか不安になり、Uターン転職も考えるべきか悩んでいます。
(回答)
お盆の帰省時に充実した日々を送る友人の姿を見て、焦りを感じるのは決して珍しいことではありません。都会には最先端の仕事や豊富な選択肢がある一方で、地方には時間や心にゆとりを持てる暮らしがあります。大切なのは「どちらが正解か」ではなく、「ご自身の人生で何を一番優先したいか」です。今回は、都会と地方のキャリアの違いや、Uターン転職の事例を交えながら、これからの歩み方について一緒に考えていきましょう。
詳しくは以下で解説します。
うらましさの正体は? 都会と地方で違う「豊かさ」
久しぶりに地元に帰ると、同級生がマイホームを建てたり、子どもが生まれていたりと、プライベートを大切にした落ち着いた生活を送っている姿を目の当たりにすることがあります。都会の慌ただしい日々に疲れを感じていると、どうしてもうらやましく感じ、「地元に帰ろうかな」と考えることもあるかもしれません。しかし、都会と地方にはそれぞれの豊かさと大変さがあるものです。少し立ち止まって、都会と地方それぞれのよさを整理してみてはいかがでしょうか。■都会の魅力と現実
都会の魅力は、何と言っても「選択肢の多さ」と「個人の自由度の高さ」にあります。・人間関係、コミュニティー
地域社会特有の密な人間関係や「世間の目」が比較的少なく、プライベートを干渉されずに自分らしいライフスタイルを貫きやすい心地よさがあります。
・利便性と刺激
公共交通機関が極めて発達しているため、車を維持するコストや運転の手間をかけることなく、どこへでもスムーズに移動できます。最新のカルチャー、エンタメ、グルメが身近にあります。
・住環境や生活コスト
家賃や生活コストが高く、住まいは手狭になりがちです。
・キャリアの選択肢
IT、マーケティング、企画・戦略などの専門職が多く、キャリアアップの機会や選択肢が豊富です。
■地方の魅力と現実
地方の魅力は、日常の中に自然と溶け込んでいる「心身のゆとり」と「確かな生活実感」にあります。・人間関係やコミュニティー
地域や家族との繋がりが深く、温かみがあります。一方で「世間の目」が気になることもあります。
・利便性と刺激
満員電車とは無縁の暮らしが多く、車通勤などパーソナルな空間を保ちながら穏やかな気持ちで一日のスタートを切ることができます。刺激は少ないものの、海や山などの自然が近く、日常的に心身をリフレッシュできます。
・住環境や生活コスト
家賃や土地の価格が抑えられているため、同じ支出でも広々とした住まいに暮らすことができ、安心して自分の居場所を築きやすいメリットがあります。
・キャリアの選択肢
製造業、インフラ、医療・福祉、公務員などが中心で、求人のバリエーションは限られる傾向にあります。
こうして見比べてみると、どちらの環境にも他方にはない素晴らしい「豊かさ」があることが分かります。どちらがよい・悪いということではなく、「今の自分、そしてこれからの自分が、日々の生活で何に囲まれて過ごしたいか」によって、心地よいと感じる場所は変わるものです。慌てて答えを出そうとせず、ご自身の心がほっとする要素を1つずつ選んでいってみてくださいね。
「地方は稼げない」は本当? 求人と年収から見えてくること
将来を考えるうえで、都会と地方の求人・年収事情の違いを知っておくことも大切です。一般的に、都会ではITやマーケティング、経営企画、コンサルティング、DX関連といった「無形資産」や「企画・戦略」を扱う専門職の求人が豊富で、平均年収も地方に比べて高い水準にあります。20代のうちはそこまで大きな差を感じなくても、管理職や専門職といったポジションが東京に集中している影響で、30代、40代と年齢を重ねるにつれてその差は広がっていく傾向があります。一方、地方では地域の生活を支える製造業や医療・福祉、建設業、地元のインフラ企業、そして公務員などが求人の中心となる傾向があり、都会の専門職と比べると年収水準は控えめなものの、地域になくてはならない安定した仕事が多いのも特徴です。つまり、「地方は稼げない」というのはあながち間違いではなく、平均的な年収水準では都会に軍配が上がるのが実情です。しかし、年収の高さだけが幸せの指標というわけではありません。どのような働き方がご自身にフィットするのか、広い視野で捉えてみるのがいいかもしれませんね。
年収200万円ダウン、それでも地元に帰った理由
ここで、都会での経験を地方で生かし、理想のライフスタイルをかなえた方の事例をご紹介します。青森県出身のその女性は、大学卒業後に上京し、ベンチャーのWebマーケティング企業に入社しました。夜遅くまでの勤務や短い納期に追われ、クライアントの要望に振り回される非常に多忙な日々だったそうです。2年目の頃、地元の友人が結婚してマイホームを持ち、夕方には仕事を終えている姿をうらやましく思い転職を考えましたが、当時は地元に魅力的な求人が見つからず断念されました。その後も、めまぐるしく変化するマーケティング手法やアルゴリズムを追いかけながら多忙な日々を送り、管理職としてやりがいも感じていましたが、両親が高齢になってきた30歳を機にUターンを決意されました。地元のタウン情報メディアへ転職し、年収は200万円ほど下がった一方、残業はほぼゼロになったそうです。ご実家の農業を手伝いながら心穏やかなスローライフを満喫されていました。
少し経った頃、地元のクライアントからマーケティングの相談を受ける機会が増えてきました。そこで東京でのノウハウを生かし、社内で新たにWebマーケティング部署を立ち上げて地元企業の支援をスタートさせました。その結果、残業はほぼないゆとりある生活を保ったまま、年収も東京時代と同じ水準まで戻すことができたそうです。都会での頑張りが、地方での新しい道に繋がったすてきな事例です。
焦らなくて大丈夫。あなただけの「譲れない優先順位」の見つけ方って?
友人のまぶしい姿を見て焦ってしまう気持ちは、とてもよく分かります。しかし、他人の「切り取られた充実」と、自分の「いま疲れている部分」を比較して落ち込む必要はまったくありません。もしかしたら地元の友人も、都会で挑戦し続けるあなたをうらやましく思っているかもしれないのです。現代は「完全移住(Uターン)」か「都会にしがみつくか」の二者択一だけではありません。以下のように、グラデーションのある選択肢が存在します。
・「転職なき移住」(東京の仕事をフルリモートで続けながら、地方で暮らす)
・「二拠点生活(デュアルライフ)」(平日は都会、週末は地方)
・「パラレルキャリア」(地方で暮らしつつ、副業で都会の案件を受ける)
まずは、「仕事のやりがい」「時間のゆとり」「住環境」「人間関係」など、あなたの人生において絶対に譲れない優先順位を1つだけ決めてみませんか? 焦らずに自分の心と向き合うことで、あなたにとって最も納得のいく選択肢が必ず見えてくるはずです。
この記事の執筆者:
三ツ橋 りさ
『type』編集長
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Woman type』の編集を経て、転職サイト『女の転職type(旧・女の転職@type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。13年04月~15年12月まで『女の転職type(旧・女の転職@type)』の編集長に就任。産育休を経て16年11月より転職サイト『type(旧・@type)』の編集長として復職。19年10月より2度目の産育休を取得し、21年5月に復職。21年6月からtype編集長に就任し現在に至る。 type■https://type.jp/ 女の転職type■https://woman-type.jp/
...続きを読む



