大手所属グループも「1位」を無視できないワケ
矢野:確かに、SNSで「後輩グループが出てから、先輩グループのプロモーションがなおざりになっているのでは?」「明らかに事務所に優遇されているグループ、そうでないグループがいる」といった不満の声を見たことがあります。
ゆりこ:そういうの、外からも分かってしまうんですよね。SNSの発達でますます可視化されてしまって。デビュー5、6年ぐらいのグループの場合、先輩と後輩の両方に挟まれて立場が気になるところです。「まだまだ健在」「勢いは止まっていない」ということを対外的にも社内にも証明する必要があります。
矢野:成績が振るわないグループの予算やリソースが、社内の別のグループに流れる可能性が高まるということですね。つまり、大手のグループであれ「1位」を取ることは大事、と。
ゆりこ:そうなんです。部署間における社内リソースと予算の取り合いは、会社員経験者であれば、誰もがイメージできると思います。まさにアレが芸能事務所内でも同様に起こる。「事務所の看板アーティスト」として社内にも認められることが大事なんです。
矢野:さすがにBTSやBLACKPINKレベルになると、韓国の音楽番組を回る必要がなくなりますし、気にする指標がアメリカのビルボードチャートやワールドチャートになるでしょうけれど……そこまで行けるグループはほんのわずかですよね。
ゆりこ:前回取り上げたSHINeeも、もはや別のフェーズに移っているように思います。一方で、対照的だったのが今年の1月のEXOのカムバックです。久しぶりに国内活動に注力し、主要音楽番組の全てで1位を獲得し「グランドスラム」を達成。改めて存在感をアピール。ブランド力が復活しました。ベテラングループにとっても、「1位」は有効なのだな、と改めて思いました。
音楽番組の「1位」はどのように決まる?
矢野:そういえば、音楽番組の1位ってどのように決まるんですか? CDの売り上げや、ストリーミングの再生数など、あらゆるチャートを総じて見るというところまでは知っています。
ゆりこ:加えて外せないのが「SNS・バイラルチャート」。つまりどれだけバズっているか、話題になっているかも加味されます。YouTubeの再生数はここに入ります。さらに、ファン投票もあるんです。各音楽番組がアプリを持っていて、そこでファンは毎日コツコツ投票します。そのファンからの1票も大事なのです。基本無料で参加できますが、ポイント経由などで投票権を買い増すこともできます。
矢野:CD購入だけではなく、ここでも課金する場面が出てくるんですね。
ゆりこ:そうなのです。私もつい、大好きなグループがカムバックした時には、ポチっと買ってしまうことがあります。そして番組によって重視する指標が違うのも面白いところ。CD売り上げを大事にする番組もあれば、ファンダム投票が有利に働く番組もあります。全体的にはストリーミング(音源)重視の傾向がありますね。
1位のグループにだけ許される「アンコールステージ」が実力試しの場に
矢野:ファンが一丸となって盛り上がることで、さらに熱を高める効果もありそうです。音楽番組では最後に1位を取ったアーティストだけ、「アンコールステージ」が許されるじゃないですか。あれもアーティスト、ファン双方にとって誇らしい瞬間なんだろうなと思います。
ゆりこ:「アンコールステージ」も、最近は単なる祝賀パフォーマンスではなく「実力が試される場」になってきています。アーティストとしては気が抜けないでしょうね。
矢野:あの場は「生歌」が基本ですからね。たまたま音が外れてしまったところを、SNS上で切り抜かれてアップされているのを見ました。「やっぱりうまい!」となるケースもあると思いますが。
ゆりこ:結構シビアな審査の場でもあるなと感じています。生放送で勝敗が決まり、実力を試される……韓国の音楽番組って、まるでスポーツ中継みたいですよね。
(※一部「サノク」といって事前に収録している部分もあります)



