事務所トラブル、活動休止…苦難を乗り越えベルーナドームで見せた「SHINee」の現在地とファンとの絆

【K-POPの歴史を作ったグループたちの復活と現在地】今回は、先日約8年ぶりに4人そろっての日本公演を行ったSHINeeをフィーチャー! 独自のスタイルを守りつつも歩みを止めない彼らの「アップデートされた魅力」と「日本との深い縁」とは? ※画像:SHINee ジャパン オフィシャル X(旧Twitter)

ツアータイトルに込められた、ファンとの「約束」と未来への期待

矢野:今回のツアータイトルも話題になっていますよね。単なるライブ名ではなく、彼らの現在地を象徴する強いメッセージを感じます。報道によると、イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの代表作である『神曲』をモチーフにした3部作コンサートになっているとか。

ゆりこ:「- The Trilogy I - 2026 SHINee WORLD VIII : [THE INVERT]」と長いタイトル。この「The Trilogy I(3部作の1つ目)」という数字が示すように、今回は「ここから始まる新たな3連作の第1章」であるということです。次はⅡ(2)のツアーが待っている、つまり未来の約束があるんですよね。また、「THE INVERT(反転・逆転)」というワードからは、これまでの激動やゴタゴタ、環境の変化を「ひっくり返し、新たな世界観を再構築する」という意思が感じられます。

矢野:まさにSHINeeの現在地と方向性を改めて示す、そんなツアーだったんですよね。

ゆりこ:古くからのファンとしては、今でもどこかにジョンヒョンさんの面影を探してしまうのは否めないけれど、今回は「これぞ完全体」と呼ぶにふさわしいステージでした。お気付きだったかもしれませんが、デビュー曲にして代表曲の『Replay』や『LUCIFER』『Ring Ding Dong』などの超定番曲をやらなかったんです。それでもなお、充実したセットリストだったと感じたのは、彼らのヒット曲があまりに多く、タイトル曲以外も名曲ぞろいだからなんですよね。

矢野:確かに、全体的にダークで重厚な世界観で統一されているように感じました。きっと明るめの定番曲は次回、またはその次のツアーのコンセプトにピッタリ合う場で披露されるでしょう。

ゆりこ:そしてやっぱり、さすがのオール日本語のMC。通訳さんなしでも笑いがとれる実力! 日本語曲をたくさん披露してくれたのも印象的でした。

日本人メンバーがいなくとも地道なJ-POP活動をした過去と、日本語曲を歌う意味

矢野:2024年のSHINeeの記事でも、彼らが130回以上も日本で公演をしてきた話をしました。今でも日本のファンと市場を大事にしているんですよね。

ゆりこ:間違いないと思います。私は今回のツアーのソウル公演を配信で見たのですが、本国のライブでも日本語曲を3曲も披露していました。しかも2013年に日本で出した『Breaking News』も! これは単なる日本から来たファンへのサービスではなく、彼らにとって日本で出した曲も大事な持ち歌であるという意識の表れだと受け止めています。ベルーナドーム公演では『LUCKY STAR』『3 2 1』を歌いながらトロッコに乗って、近くまで来てくれましたね。

矢野:ふと疑問に思ったのですが、K-POPグループってやはり戦略的に売っていく、ターゲットの国や地域を決めているのでしょうか?

ゆりこ:最近は結成の段階から狙いを定めていると思います。メンバーが多国籍のグループも増え、その構成を見ればおのずと、注力する商圏は見えますよね。世界2位の音楽市場と言われている日本は、安定した「ファンクラブ・ライブ」経済圏。そしてBTSやBLACKPINKの成功以降は北米・欧州市場は世界的な「ブランド価値向上」がかなう場所、東南アジアや中華圏は圧倒的な「拡散力・バイラル」が期待できます。SHINeeの場合は、東方神起とBoAさんから始まる「avex(エイベックス)と手を組んだ日本進出」が王道ルートの時代にデビューしたので、avex所属ではありませんでしたが、自然とそうなっていったのだと推測します。

矢野:日本人メンバーが1人もいないのに……ファンとしてはありがたい話です。

ゆりこ:かつてはツアーで北関東や中国地方、三重、新潟、長野県まで細かく回っていましたから。韓国ではすでに大型会場を埋める人気グループだったにもかかわらず、です。先輩の東方神起から受け継いだものでもあり、そして最近はRIIZEも2024年に地方も含めた広域ツアーを実施しています。

矢野:SMエンターテインメントの伝統なのかもしれません。一過性のブームで終わらせないための。いずれにしても、SHINeeが2026年も日本のファンを大事に思ってくれているのが伝わる公演でしたね。

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韓国デビュー18周年の新境地、新作『Atmos』が示す、唯一無二のスタイルと進化
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