実は皇室が日本の中東外交も支えている? 「菊の御紋の威光は絶大」サウジ国王が敬う“飾らない気品”

世界情勢が緊迫する中、改めて注目される日本の「皇室」の存在感。とりわけ中東の王族たちから特別な畏敬の念を抱かれるのは、なぜなのでしょうか。皇室が静かに、しかし力強く支える外交の舞台裏をひも解きます。(画像出典:ロイター/アフロ)

2026年春の園遊会での愛子さま(画像出典:ロイター/アフロ)
2026年春の園遊会での愛子さま(画像出典:ロイター/アフロ)

世界情勢が緊迫する中、いま改めて注目されているのが、日本が誇る「皇室」の存在感。とりわけ中東の王族たちにとって、日本の皇室はひときわ特別な、畏敬の念を抱く対象だといいます。

「日本は例外だ」——そう断言するサウジの重要人物や、謁見の際、何よりも先に「陛下の安否」を問う国王。なぜ、豪華絢爛(けんらん)な暮らしを謳歌(おうか)するアラブの王室が、質素ともいえる日本の皇室にこれほどまでの敬意を払うのでしょうか。

本記事では、西川恵氏の著書『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮社)より一部を抜粋・編集。アラブ王室が語った評価や「日本は例外」とされた理由、さらにSNSで話題となった1枚の写真を通して、日本の皇室の本質に迫ります。

皇室はなぜ世界で尊敬されるのか (新潮新書)
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なぜアラブ王室は日本の皇室を気にかけるのか

中村滋氏は2006年から2009年までの3年間、駐サウジ大使を務めたが、「サウジの王族は日本の皇室に尊敬と強い関心を寄せている」と指摘する。

在任中、日本からの要人がアブドラ国王(在位2005年8月~2015年1月)に謁見するとき、中村氏は必ず陪席したが、国王の最初の発言は決まって「天皇陛下はお元気でおられるか」との質問で始まった。

同国王は皇太子時代の1998年10月、公賓として来日し、東宮御所で徳仁皇太子夫妻から夕食のもてなしをうけた。翌日には天皇が徳仁皇太子、小渕恵三首相らを交えた昼食会をもった。

この訪日を通して皇室にアブドラ皇太子がひと際強い印象を抱いたと中村氏は感じ、国王になってから日本の謁見者に冒頭、決まり文句のように「天皇陛下はお元気でおられるか」と言う言葉にも懐かしさのこもった響きがあったという。

ちなみに先に触れた徳仁皇太子、雅子妃の1994年の中東4カ国歴訪でサウジに立ち寄った際は、国王になる前のアブドラ皇太子がもてなしている。

「日本は例外」サウジ王族が語った特別な理由

長年、サウジの駐米大使を務めたバンダル・ビン・スルタン王子は帰国後、国家安全保障会議の事務局長という重要ポストに就いた。

面会が極めて難しいことで知られたが、中村氏とは二度私邸で会い、イランとの水面下の交渉などを明かしてくれたという。

この時、事務局長は、「自分は通常、外国の大使には会わないが日本は例外である。なぜなら日本の皇室を尊敬しているからだ」と述べたという。

2004年9月、徳仁皇太子がブルネイのビラ皇太子の結婚式に参列した際には、スルタン王子と席が隣同士になり、歓談している。

皇室に対するサウジの敬意について中村氏はこう指摘する。

第一に、日本の皇室が万世一系と言われる、世界でも珍しい長い歴史と伝統を保持していること。第二に、皇室が日本国民の幅広い尊敬と支持を集めていて、「自分たちもこうありたい」という願望。第三に、華美や贅沢から一線を画した精神性の高さ、だ。

これは先に触れたように、彼らが信奉するイスラム教に通じるものがある。

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なぜそこまで尊敬されるのか。中東で語られる“皇室の存在感”
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