「愛子さまを天皇に」という声がしばしば聞かれます。しかし、女性天皇について語るとき、あまり知られていない歴史があります。
それは、女帝の子孫が皇位に就くことはこれまで一度もなく、いったん女性が皇位に就くと、生涯未亡人もしくは未婚を貫かなければならない不文律があったということ。もし現代に女性天皇が誕生した場合、同じような制約を課すことになるのでしょうか。
本記事では『皇室論 なぜ天皇は男系でなければならないのか』(竹内久美子・著/方丈社)より一部を抜粋・編集し、女性天皇の歴史と愛子さま天皇論を巡る議論について紹介します。
皇室典範を改正しても愛子さまは天皇になれない理由
もし女性を皇位に就けるようにしたいのなら、皇室典範の改正が必要です。しかし、皇室典範を改正して、皇族の女子が皇位を継げるようになったとしても、愛子さまが天皇になれる可能性はありません。
ヨーロッパの王室を見ると、1990年代以降に「性別に関わりなく第一子が王位を継ぐ」と改正しても、改正後の法律が適用されるのは、改正後に生まれた子ども、あるいはまだ物心がついていない子どもです。つまり、法は過去に遡って適用されないのです。
愛子さまは、もうすっかり大人でいらっしゃる。「愛子天皇論」を持ち出している人たちは、皇室典範をヨーロッパの王室のように改正して、第一子が王位を継げるようにしたとしても、すでに大人になっている人は改正後の法律の適用外であることを知るべきです。
それを知らずに「愛子さまを天皇に」と言っているのであれば、それは勉強不足というものです。
女性天皇はなぜ「生涯独身」とされたのか
いま第一子が皇位を継承できるように皇室典範を改正しても、もはや成人していらっしゃる愛子さまは天皇になれないわけですが、ここではイメージしやすいように愛子さまを例にして、女性天皇と女系天皇について考えてみます。
歴史上の女性天皇は生涯独身で、結婚も出産も許されませんでした。もし21世紀のこの時代に、女性である愛子さまが皇位を継承されたとき、生涯独身でいてくださいと言えるでしょうか。
仮に誰かがそう言ったとしたら、必ず「そんなのお可哀そう」「今の時代に生涯独身を強いるのは人権侵害だ」などという世論が高まり、「ご結婚へ」という流れになるでしょう。
ご結婚となれば、自然のなりゆきとしてお子さまが生まれます。すると今度は、「天皇の子を天皇にするのは当然の成り行きではないか」ということになり、愛子さまの第一子が性別に関係なく皇位に就くことになる。そうすると、ついに歴史上一度も存在しなかった女系天皇が誕生することになります。
この女系天皇の誕生こそが大問題なのです。



