善良な団体の見極めポイント
善良な団体ももちろんあります。愛犬をあずけるなら当然、そういうところを選びたいですよね。
この記事では見極めポイントもお伝えしますので、ぜひ直接施設に足を運んで、その目で確かめてください。できれば一度ではなく複数回、一部屋だけではなく施設全体を見学させてもらいましょう。
体調等の理由でどうしても施設を訪れることができない場合は、信頼できる人に代わりに見学しに行ってもらってもよいと思います。見学を断るところはそもそも信頼できません。どのような場所で過ごせるのかわからないまま愛犬をあずけることなどできませんよね。犬をあずけたあとも本人や家族が希望すれば愛犬の様子を見に行けるところを選んでください。
また、善良な団体であっても経営が破綻してしまっては元も子もありません。
実際に経営破綻する老犬ホームや愛護団体はあり、そこにいた犬猫が保健所に収容される事態も起きています。これでは何のために愛犬をあずけたのかさっぱりわかりませんよね。
団体の経営状況を確認する方法は?
さて、健全な経営かどうか、どうしたらわかるでしょうか。まず、老犬ホームは営利組織ですから、経営状態を帝国データバンクなどに調べてもらうのも手です。
愛護団体はNPOであることも多いですが、「NPOだから大丈夫」とは限りません。とくに審査や手続きがなくてもNPOにはなれるからです。
単なるNPOではなく、NPO“法人”は審査を受けて認証された団体で、社員の人数など設立に一定の条件があるので、そのぶん信頼性は増します。NPO法人は「決算書」や「年次報告書」の公開が義務づけられているので、そういった書類を判断基準にするとよいでしょう。
また、設立まもないところより長年活動しているところのほうがすぐに廃業するリスクは低いといえます。
しかし一方で代表者が高齢だと存続が危ぶまれるというリスクもあります。後者の場合、後継者がいるかどうかを問い合わせてみてもよいでしょう。
第三者の評価を参考にするのもよい方法です。
例えばその団体に協力している企業があるとか、財団や企業から助成金や表彰を受けているところは、信頼性が増します。その団体名と「助成」「支援」「表彰」などの単語で検索してみましょう。
その団体の評価を調べるわけですから、その団体が作っているホームページ以外のサイトを見てください。
個人による評価を見てみるのもよいでしょう。
ただ、悪評があったからといって鵜呑みにするのは賢い方法とはいえません。
匿名性の高いインターネットのなかでは、バッシングが横行しています。なかには、犬の里親になりたかったのにその団体に断られたために、逆恨みして悪評を書き連ねている人もいます。
よい評判がどれだけあるか、悪い評判を書いているのは一部の人ではないのか、総合的に判断することが大切です。
これらの情報を集めたうえ、最後は自分の目で判断しなくてはなりません。人と環境、そこで世話されている動物たちの様子を見て決めましょう。
『私が死んだあとも愛する犬を守る本』(日東書院本社)では、犬を守るための「遺言書」の作り方や、遺言書よりも強力なセーフティネットとなる「ペット信託」も紹介しています。高齢の飼い主だけでなく、すべての飼い主に必読の一冊です。
この書籍の執筆者:富田 園子 プロフィール
日本動物科学研究所会員。著書に『私が死んだあとも愛する猫を守る本』『犬と一緒に生き残る防災BOOK』をはじめとした大人気「ペット防災」シリーズ(日東書院本社)、『教養としての犬 思わず人に話したくなる犬知識130』『いぬほん』(西東社)、ほか多数。飼い猫7匹。



