ヒナタカの雑食系映画論 第177回

『鬼滅の刃 無限城編』の超特大ヒットに見る5つの「不安と期待」。“上映中マナー”の悪さは深刻か

とてつもない超ロケットスタートとなった『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来』における、5つの「不安と期待」ポイントを記してみましょう。(※画像は筆者撮影)

2:マナー違反の報告も。スマホの光の煩わしさを知ってほしい

残念ながら、SNSでは『無限城編』を見た人のマナー違反の報告がいくつか寄せられており、特に鑑賞の大きな妨げになる「上映中のスマートフォンの光」へ怒りを覚えている人は少なくありません。

ほかにも「前の座席を蹴っていた」「上映中に大きな声でしゃべっていた」などがNGということは、上映前の注意としても映し出されていたはず。「初めて映画館に来たから」という言い訳は通用しません
また、ポップコーンとドリンクの容器を座席に「放置」したままで帰ってしまっている例も報告されています。「容器はスクリーンの外に持って行ってスタッフに回収してもらう」ことは「常識」だと感じてしまうところですが、それを知らない人がいるというのも事実。ここはしっかりアナウンスしたほうがいいのかもしれません。

さらには、上映中に本編の写真や動画を撮影し、しかもネットにアップしているという、マナー違反を超えて犯罪だと断言できる事例も報告されています。こちらを見かけたのであれば、スタッフにはっきりと報告したほうがいいでしょう。公式からも、「悪質な著作権侵害に対しては、刑事告訴を含む厳正な対処をしていく所存です」との声明が出されています。
また、マナー違反をする人は全体からすればごくごく一部であり、「マナーが悪い観客に遭遇しなくて本当に良かった」といった反応のほか、「(公開初日の)朝イチの回だと“ガチ勢”が多いのでマナーが良かった」という報告もいくつか寄せられています。

しかし、仮に1000人規模のスクリーン中で、たった1人でもマナー違反があると、その回は「マナー違反の客がいて残念だった」となります。繰り返しますが、上映中のスマホの光は何百人というほかのお客さんにとって大きな鑑賞の妨げになるので、絶対にやめてほしいです。今後にマナー違反の報告が少なくなることを願っています。

3:ほかの映画の上映回数が「圧迫」されているけど……

『無限城編』の超大ヒットにより、「こんなに劇場が混んでいるのは初めて見た」「いつもは閑古鳥が鳴いている地元の映画館がかつてないほどにぎわっている」といった報告が寄せられています。2021年のコロナ禍に公開された『無限列車編』も間違いなく映画館の経営を救ってくれましたが、今回も映画館および映画業界を根幹から支えることでしょう。

その一方で、「まるで時刻表」と表現されるほどの上映回数の多さのため、ほかの映画の上映回数が「圧迫」されていることに、複雑な感情を覚えている映画ファンも少なくありません。

もちろん『鬼滅』や『コナン』の大ヒット自体は喜ばしいことですが、「ほかの映画との『格差』があまりに大きすぎて不健全」「さまざまな素晴らしい映画を知っているからこそ、ほかの映画にも目を向けてほしい」という、筆者を含む映画ファンの心理も理解はできるはず。

とはいえ、(上映回数が減っている影響ももちろんあるでしょうが)『無限城編』の公開週末には、ほかの映画も満席に近くなるほどに盛況だったという報告もいくつかあります

例えば、累計興行収入が68億円を突破する大ヒットとなっている『国宝』は、公開7週目に『無限城編』が公開されてもなお、前週比で約85%という落ちの少ない興収を維持しており、かなりのロングランが期待できます。
さらに期待できるのは、これから夏休みに突入するタイミングであり、『無限城編』で久しぶりに、または初めて映画館で映画を見たという若者やファミリー層が、予告編で興味を持ったほかの映画も見に来る可能性が十分にある、ということ。『無限城編』はほかの映画の上映回数を奪うだけではなく、これからの映画館と映画産業が盛り上がる「呼び水」になり得るのです。

個人的なおすすめは、スーパーヒーロー映画の中でも予備知識がなくても楽しめる7月11日より公開中の『スーパーマン』と7月25日より公開中の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』。そして、コロナ禍での中高生たちの青春模様を描いた、7月4日より公開中の日本映画『この夏の星を見る』です。
いずれも劇場のスクリーンで見る価値のある作品なので、ぜひチェックしてみてください。
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「『鬼滅』のフォーマットに慣れた人は他作品を素直に楽しめるのだろうか」
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