ヒナタカの雑食系映画論 第175回

『スーパーマン』を見る前に知ってほしい5つのこと。排外主義が問われる今の日本だからこそ必見の理由

新たな『スーパーマン』の映画について、5つの知ってほしいことをまとめてみましょう。外国人差別や排外主義の問題がはびこる今の日本でこそ、見るべき理由もあったのです。(※画像出典:(c) &TM DC(c)2025 WBEI)

スーパーマン
『スーパーマン』 7月11日(金) 日米同時公開 配給:ワーナー・ブラザース映画 (c) &TM DC(c)2025 WBEI
7月11日より『スーパーマン』が公開中です。結論から申し上げれば、本作はあらゆるヒーローの原点といえるスーパーマンを、今の困難な世の中で送り出す意義を存分に感じられる傑作でした。

ロシアによるウクライナへの侵攻やイスラエルによるガザ地区侵攻という、現実の世界で重大な問題があるからこそ、スーパーマンという究極的なヒーローの「善性」をとことん信じたくなり、それによって現実での希望も得られる内容だったのです。

しかも、外国人差別や排外主義の問題がはびこる今の日本だからこそ、見るべき作品でもありました。まずは重要な2つの前置きを記してから、それらの理由を記していきましょう。

前置き1:予備知識ゼロでOKだけど、「このくだりはもういいよね!」なところも?

本作は「仕切り直し」となるシリーズの第1弾です。そのため、スーパーマンに詳しくなくても、ほかのヒーロー映画を知らなくても問題なく楽しめるでしょう。
スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)
スーパーマン ディレクターズカット(字幕版)
マン・オブ・スティール(字幕版)
マン・オブ・スティール(字幕版)
しかしながら、今回は主人公であるスーパーマンの「生い立ち」などはほとんど描かれてはおらず、人によっては「えっ? そんなところから始まるの?」とびっくりする、大胆な物語の立ち上がりにもなっているのは事実。そのため(劇中でも言葉での説明はありますが)以下のスーパーマンの基礎的な設定は知っておいた方がいいでしょう。

・スーパーマンは赤ん坊の頃に地球にやってきて、地球人の夫婦に育てられた。惑星「クリプトン」の生き残りである。

・スーパーマンの人間としての名前は「クラーク・ケント」で、普段は大手メディア「デイリー・プラネット」で働いている。恋人は同僚記者の「ロイス・レイン」。

・スーパーマンの弱点は「クリプトナイト」という物質である。

それらの過程を「飛ばした」ことで、後述する今回の主題に注力して描くことに成功しています。さらに結果として、上映時間も129分と昨今の大作映画の中ではタイトに仕上がっています。
スーパーマン
(c) &TM DC(c)2025 WBEI
例えるなら「スパイダーマンがクモにかまれて能力を得る」ような、これまで何度も描かれてきた部分は「もう説明しなくてもいいでしょ!」と潔く省いた、いい意味で割り切りのある構成といえるでしょう。

前置き2:7月17日までに見てほしい理由も

作品の内容と関係ないことで恐縮ですが、この『スーパーマン』に限らず、もしも現状で「映画館で見たい映画があるな」と思ったのであれば、7月17日までに見ることをおすすめします。

というのも、7月18日からは興行的大ヒットが確実視され、155分という長尺で、多くのスクリーンを占めると予想される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開されるためです。必然的にほかの映画は上映回数が激減し、小さなスクリーンに追いやられるか、もしくは上映終了となるでしょう。

しかも、2週間後の7月24日には、同じくヒーロー映画である『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』という、これまた強力なライバル作品が公開されます。大きなスクリーン、特にIMAXで『スーパーマン』を見たい人は、早めに劇場へ駆けつけてください
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今回のスーパーマンは「苦労人」?
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