ヒナタカの雑食系映画論 第169回

『岸辺露伴は動かない 懺悔室』3つの魅力。「短編」の原作を長編映画化するための“最適解”とは?

『岸辺露伴は動かない 懺悔室』の3つの魅力を解説しましょう! あらゆる面で実写映画化の「最適解」だと思えたのです。(画像出典:(C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社)

改めて思う「実写化の最適解」の理由

改めて、この『岸辺露伴は動かない』シリーズは「実写化の最適解」と思えるところがあります。
岸辺露伴
(C) 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
中でも、「怪奇テイスト」ともいえる、色味を抑えたシックな画作りおよび美術が素晴らしく、おかげで実写化作品でよく「難点」として挙げられる「コスプレ感」はほぼありません。

柘植(つげ)伊佐夫による、人物デザイン監修や衣装デザインはもちろん、いい意味で不安感をあおり「おどろおどろしさ」を感じられる菊地成孔による音楽の力も大きいですし、今回はヴェネツィアの光景の魅力もとてつもないものでした。

そして、やはり本作の立役者は主演の高橋一生。彼の一挙手一投足からにじみ出る“変人らしさ”と、知性や信念の強さが見事に同居し、俳優・高橋一生の持ち味がそのまま生かされつつ、原作の岸辺露伴らしさも存分に感じられました。
岸辺露伴
(C) 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
しかも、今作から新たに加わった玉城ティナ、井浦新、戸次重幸、大東駿介といった俳優それぞれが、まるで“もともと荒木飛呂彦の世界に存在していた”かのようなはまりっぷりと熱演で、もうたまりません。

さらに、飯豊まりえ演じる担当編集者の泉京香が、いつもにも増して天真らんまんそのもので、殺伐とした物語の中ではホッとひと息をつける、いるだけで「安心できる」存在なのもうれしいところ。劇中で岸辺露伴は泉に表向きには「塩対応」をしているようで、実際は信頼しているし、本当に助けになっていることが分かる言動にも、ニヤニヤしてしまいます。
岸辺露伴
(C) 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
そして、現実の飯豊まりえは『岸辺露伴は動かない』の縁もあって高橋一生と結婚をしているのですが、そのことをメタフィクション的に捉えたかのような「祝福」の場面も劇中にはあります。そちらにもぜひ期待をしてみてください。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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