フランス人が、日本人ほど「ディズニーランド」に熱狂しない理由。両国で異なるキャストの「採用制度」

ディズニーランド・パリは1992年にオープンし、ヨーロッパ初のディズニーランドとして大きな話題を呼びました。東京のディズニーリゾートとはどんな違いがあるのか、フランスに熱心なファンはいるのか、それぞれの特徴を紹介します。(サムネイル画像出典:Ferreiro / Shutterstock.com)

ディズニーランドパリ
画像出典:Ferreiro / Shutterstock.com
ディズニーランド・パリは、アメリカのカリフォルニア、フロリダ、そして日本の東京に次いで、世界で4番目のディズニーランドとして1992年に開園しました。以前は「ユーロ・ディズニーランド」と呼ばれていたこの名前を、1度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか(2002年に名称変更)。

実はディズニーランド・パリは市内にはなく、パリ近郊のマルヌ=ラ=ヴァレ県に位置しています。パリ中心部からは電車で約40分で到着し、乗り換えなしで直行できるため、アクセスのよさも大きな魅力の1つとなっています。

東京とは異なる2つのテーマパークが

パリの駅で表示されるディズニーランドのマーク
パリの駅で表示されている「ディズニーランド方面(ミッキーマウス)」のマーク(写真は筆者撮影)
東京ディズニーリゾートには、「ランド」「シー」という愛称で親しまれている2つのテーマパークが存在します。ディズニーランド・パリも2つのテーマパークで構成されているのですが、こちらではそれぞれを「ディズニーランド・パーク」「ウォルト・ディズニー・スタジオ」と呼んでいます。

まずはその特徴を簡単にご紹介しましょう。

ディズニーランド・パーク

出典元: Wirestock Creators / Shutterstock.com
画像出典:Wirestock Creators / Shutterstock.com
ディズニーランド・パークの最大の特徴は、コンセプトやデザインにヨーロッパの文化が大きく反映されているところです。特にシンデレラ城にあたる「眠れる森の美女の城(Le Château de la Belle au Bois Dormant)」では、フランスの中世のお城をモチーフにした華麗な建築様式が再現されています。

ディズニーランド・パーク全体としては、時代や趣の異なる5つのエリアで構成されています。合計では40以上のアトラクションがあり、「ビッグサンダー・マウンテン」や「イッツ・ア・スモールワールド」などは日本と共通していますが、ホーンテッドマンションより怖い「ファントム・マナー」や、「ハイパー・スペースマウンテン」などは、ディズニーランド・パリだけの限定アトラクションとなっています。

ウォルト・ディズニー・スタジオ

出典元: aureliefrance / Shutterstock.com
画像出典:aureliefrance / Shutterstock.com
ウォルト・ディズニー・スタジオは、ディズニー映画やアニメーションの世界をテーマとしたアトラクション・テーマパークです。その規模はディズニーランド・パークのおよそ3分の1と小さいですが、パリならではの特別なエリアも存在しています。

例えば、ディズニー映画『レミーのおいしいレストラン』をモチーフにしたエリア。このエリアでは、映画の舞台となったパリの雰囲気を再現しており、レストランでは「ラタトゥイユ」などフランス料理が提供されています。また、レミーをテーマにしたアトラクションやギフトショップ、さらにはワインショップもあり、フレンチ・ガストロノミーの世界を存分に堪能できるのが特徴です。

そのほか、『アラジン』や『ファインディング・ニモ』を題材にした乗り物など、日本にはないアトラクションが多数あるディズニーランド・パリ。花火、レーザー、ドローンを組み合わせた「世界一」と呼ばれるパレードも大変有名です。

ディズニーランドに対する「熱量」が日本ほど高くない

さて、フランスの人々はディズニーランドをどのように感じているのでしょうか。日本では熱狂的なファンが多く、東京ディズニーリゾートはまさに「夢の国」として多くの人々に愛されています。しかしフランスでは、ディズニーランドに対する「熱量」が日本ほど高くない印象を受けます。

とはいえ、「1度は行ったことがある」と話すフランス人は多いです。その中でも特に目立つのが、「子どもが小さい頃に行った」または「子どもの頃に親と一緒に行った」という声。フランスの子どもたちもディズニーアニメが大好きなので、ディズニーランド・パリは主に「家族のレジャースポット」として人気を集めているようです。

一方で、カップルがデートに訪れる場所ではないのだとか。その理由は、フランスならではの文化的な要素が影響していると考えられます。というのも首都パリでは、非常に多くの美術イベントやファッションイベントが開催されており、クラブやバーといったナイトライフもかなり充実しているためです。

さらにフランス人のライフスタイルとして、家族や恋人と過ごす時間を何よりも大切にする傾向があります。こうした背景から「娯楽施設」としてのディズニーランドが目立ちにくいのでしょう。大型テーマパークに向かうよりも、近場でリラックスした時間を求める人が多いことも理由の1つです。
次ページ
ユニークなディズニーランド・パリの求人
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • AIに負けない子の育て方

    「中学受験からの撤退」を決断する前に考えておくべき、後悔しないための判断基準

  • ヒナタカの雑食系映画論

    映画『ファーストキス』が大傑作である3つの理由。松村北斗へのキュンキュンの加速が青天井だった

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    「たのしーと」って何? 5両編成化の懸念は? 東武野田線の新型車両「80000系」を徹底解説

  • 世界を知れば日本が見える

    「多様性廃止」に向かうメタ、マクドナルドら大手企業。トランプ「性別は男と女だけ」がもたらす閉鎖性