エッフェル塔やセーヌ川といった華やかなイメージが定着しているパリ。しかし、その裏側には「ゴミのポイ捨て」や「犬の落とし物」といった、日本では非常識とされる問題が存在しています。そんな現状について、在住者がリアルなリポートをお届けします。
ゴミ箱は多いのに、ポイ捨てや落書きが放置されるパリ
現在、パリ市内には約4万個のゴミ箱があると言われています。しかし、これほどの数がありながら、人々の「ポイ捨て」は依然としてなくなりません。落書きやタバコの吸い殻が放置されることも多く、パリの美しい景色と対照的な現実にがっかりした人も多いのではないでしょうか。
人気観光スポットはきれいだが……
パリには1区から20区まであります。清掃員の配置や活動頻度は各区の予算によって決められるもの。例えば、エッフェル塔やルーブル美術館、凱旋門といった観光地では清掃員の人数が多く、1日に5回から8回もゴミ箱が交換されるそうです。つい最近も街路樹から大量に落ちた枯葉を、清掃員たちが見事に片付けていました。
パリ郊外には「無秩序な落書き」も多い
しかし、パリの端や郊外に目を向けると、清潔さは一気に低下します。特に目につくのは「落書き」です。パリらしい情緒を感じさせるアパルトマンの壁にスプレーで描かれた無断の落書きを見ると、どうしても残念な気持ちになってしまいます。一部の地区では「ストリートアート」として認められたエリアもありますが、そうでない場所にまで広がる無秩序な落書きは、美しいパリの景観を完全に損なっています。さらに、そうした地区ではゴミがきちんとゴミ箱に捨てられず、タバコの火を消さないまま投げ捨てられていることがあります。目の前にゴミ箱があるにもかかわらず、なぜこうした行動が繰り返されるのか。「どうしてルールを守らないのだろう」と、日本人には疑問でしかありません。
犬の糞はいつまでたっても片付けない
ゴミのポイ捨て以上に厄介なのが、犬の糞の後始末です。これは犬を飼っているフランス人全員というわけではありませんが、日本に比べれば、圧倒的に放置する人が多いと言えるでしょう。ところが、筆者はここからそう遠くない場所で糞が放置されているのを何度も見かけました。尿をした後に水をかけて流すといった配慮も、まったく見られません。中には「回収用のビニール」すら持っていない飼い主もいます。
こうした問題の背景には「清掃員が片付けてくれるから」という甘えがあるのかもしれません。いくつかの自治体は専用の掃除車を導入したり、違反者に自ら掃除をさせたりするなど、改善に向けた取り組みを進めているようですが、完全な解決には長い時間がかかるはずです。