ヒナタカの雑食系映画論 第139回

独断と偏見で「2024年のホラー映画ランキング」を作成してみた。年末に映画館で見るならぜひ第3位を

筆者が独断と偏見で選ぶ、2024年ホラー映画ベスト10を紹介します!特に「ヤバい家族の最恐のおもてなし」を描く第3位をぜひ劇場で見てほしいのです。(サムネイル画像出典:(C) 2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved. )

スピークノーイーブル
『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』 12月13日(金)全国公開 配給:東宝東和 (C) 2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved. 
2024年も残り1カ月を切りました。数多くの話題の映画が公開された2024年、ホラー映画も大充実していたことをご存じでしょうか。

ここでは、2024年に30本以上のホラー映画を見た筆者が、その中から独断と偏見で選んだベスト10を紹介しましょう。メジャーな作品以外でも見逃してほしくない掘り出し物がありますし、特に2024年最後に公開される、第3位の傑作を是が非にでも劇場で見てほしいのです。

10位:『スパイダー/増殖』(11月1日より劇場上映中)


過去20年間にわたるフランスのホラー映画で初登場1位を記録する大ヒットとなった本作の恐怖の対象は、タイトル通りに「クモ」。本物のクモ200匹とVFXを融合させて生み出した、たくさんのクモがいっせいにうごめき襲いかかる様は、いい意味で生理的な嫌悪感を呼び起こすでしょう。カメラワークやサウンドデザインも凝っており、種々のシーンのクオリティーから、格調の高さも感じました。

舞台となる円形のアパートメントは、パリ郊外に実在する公共住宅です。移民や低所得者(が住む場所)への差別問題も本作には込められており、それは外見で判断され忌み嫌われるクモという存在とも一部で重なっています。同じくアパートが舞台の攻防戦が描かれた『死霊のはらわた ライジング』が好きな人にもおすすめできますし、後述する『エイリアン:ロムルス』のように、恵まれない境遇の若者たちが理不尽に立ち向かう物語としてもおすすめします。

9位:『ソウX』(シネマート新宿で12月6日より2週間限定上映 あり)


猟奇殺人鬼「ジグソウ」が「解けないと死ぬ」ゲームを仕掛けるスリラー映画『ソウ』シリーズの通算10作目! 現在はRotten Tomatoesで81%の支持率などシリーズの中でもかなりの高評価を得ました。今回はゲームのプレーヤーではなく殺人鬼のジグソウが主人公かつ、彼が遭遇する理不尽な出来事を追うオープニングの描き方が丁寧で、まるでクリント・イーストウッド監督作の映画のような趣もあり、2時間に迫る尺でもずっとのめり込むことができました。

それでいて、死のゲームの悪趣味さはシリーズでもトップレベル。R15+指定でも甘いと思わせるほどです。グロいのがダメな人には全くおすすめできませんが、序盤の描写も手伝って、そのゲームの痛々しさからプレーヤーの「罪(と、もちろん理不尽さも)」を、これでもかと思い知らされます。シリーズの原点回帰的な側面もあり、絶対に忘れられないラストシーンも待ち受けています。シリーズ初見でも理解できる内容ですが、『1』と『2』を事前に見ておくほうがより思い入れができるでしょう。

8位:『アビゲイル』(各配信サービスで販売中)

 
「犯罪グループが誘拐したのは、吸血鬼の少女だった……!」という、とんでもないアイデアが物語の発端となっている作品です。しかしながら「出オチ」で終わらせることなく、広く入り組んだ屋敷と、パワーバランスが次々に切り替わっていく様を、目いっぱいに生かして楽しませてくれます。R15+指定にも納得する血しぶきのゴージャスさも含めて、ほぼほぼブラックコメディーな内容に仕上がっていました。

 「少女をひと晩監視するだけで多額の報酬が手に入るはず」「だけど逆に屋敷に閉じ込められて“獲物”になる」という逆転劇からすれば、「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」の1つともいえます。悪人だらけの中でも確かな善性のある女性主人公に感情移入ができる作劇もうまいですし、とにかくエンタメ性の高い内容を求める人に推薦できます。
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