ギョッとする「葬儀用の花輪」での抗議運動、いつから始まった?
矢野:スンハンさんがたった2日で脱退を決意するまで、あらゆる抗議活動が起こったんですよね。その中でも印象的だったのが所属事務所の前に並んだモノトーンの大きな花輪。韓国のお葬式で使うものだと知ってゾッとしました。確か最近、HYBEの前にも置かれていた写真を見たのですが、K-POPファンの間ではよくあることなのでしょうか?
ゆりこ:おっしゃる通り、以前からあります。私の記憶が正しければ、K-POP関連で初めて見かけたのは2010年あたり。でも最近やけに多いなという印象です。
矢野:では、10年以上前にはすでにあったんですね。一体誰が思いついたのでしょう。あれはK-POP業界独特の手法なのですか?
ゆりこ:いえ、元々は対企業、または政治に対するデモや抗議活動の際に使われていました。諸説ありますが2000年代から出始めたと聞いています。最初は大きな権力や組織に対して、弱い立場の人たちが集まって少しでも意見を届けよう、声を無視されまいとするための苦肉の策だったんですよね。
矢野:なるほど。当初はそういった切実な背景があったということですね。
ゆりこ:ただ、「弔う」ということを軽視しているようにも感じますし、実際に違和感や疑問を呈する声もあります。韓国の知人に聞いたところ、花輪1基当たり1万円代から出せるそうです。安さの理由は生花ではないので他のお葬式と使い回しができるから。手軽で、かつ相手に大きなインパクトとダメージを与えられる手法が、K-POP業界に定着してしまうのは避けたいですね。ましてやそれが「K-POPカルチャーの一部」だなんて口が裂けても言いたくないな。
矢野:商売とはいえ、仕事を受ける業者も業者だと思います。百歩譲って企業名や団体名ならまだしも、まだ生きている人間の名前を故人として記すのは……かなりエグい! しかも今回のターゲットとなったのは21歳になったばかりの青年です。名が知られていても、弱い立場だと思います。特に韓国はいじめ問題に厳しくなっている印象があったにもかかわらずです。過去のいじめが発覚して活動を停止する芸能人も多い。それなのに、ファンから芸能人に対する暴挙・暴言は許されてしまうの? とモヤモヤします。