「法律を作ること自体は反対してはいない」
長村氏は活動していく中で、1年前にはすでに「この法案でいきます」と議員から言われていたため、複雑な気持ちをずっと抱えつつ、会合を見て「いよいよなんだな」と、まずは思ったそう。さらに事前に分かってはいつつもやはり、「すごくショック」だと吐露。厳しすぎる罰則規定や「成立してから施行までの時間の短さ」にもショックを受けたよう。
どうやっても、どうあがいてもこの方向は動かないことは分かってはいるけれども、対象から外れてしまった人たちの今後の苦しみとか、選択肢のなさ、危険なことに遭うという予測はできる状況なので、未来が閉ざされていくという現状がすごく苦しい。
また、法律ができた後は「病院さえ行かなければなんでもあり」になってしまう状況を危惧。「本来この法律が必要なのは、子どもの出自を知る権利を守るというところ。不特定多数に提供していて身元も分からないドナーからしか提供受けられない人たちは自己責任。よりアンダーグラウンド化するだけで、性感染症や近親婚のリスクなども高まります。恐ろしいです」と、個人間でのやりとりが無法地帯化してしまうことに危機感をあらわにした。
今まで病院に行けていた人たちは、これからは病院に行けないから個人との取り引きになります。とても怖い話ですよね。法から外れた人たちの自己責任になるんですよね。これって誰も望んでないんじゃないのかなって思うんですけれども、結局は婚姻夫婦にしか権利はないので“身勝手な私たち”という責任が負わされることになります。
長村氏は、「法律を作ること自体は反対してはいないけども、対象者の拡大をとにかく本当に検討してほしい」と切に願っているようで、「この議論をし続けてほしい」とも強調した。
さらに、東京都が2023年に開始した卵子凍結への助成金についても言及。「卵子を凍結して保存しても、結婚するしか選択肢がないっていう状況です」と話し、「今回の法律で女性のいろんな生き方が閉ざされてしまう。『婚姻している人たちしか子どもをつくってはならない』っていうのを国が決めていいのか。今一度、皆さんにそれが本当に正しいのか考えてほしいです」と呼び掛けた。