サッカーに情熱を傾けた時間は、どんな道に進んでも必ず生きる
「今は簡単にトッププレーヤーの映像も見られますし、普段のトレーニングもより科学的に進歩しています。実際、今の子たちは上手ですよ。ただ、時代は変わっても本質の部分は変わりません。結局はどれだけサッカーを好きでいられるか、だと思います。好きだったら誰よりも練習もするし、たくさん食べて、ちゃんと寝て、人のアドバイスもよく聞く。僕自身も、『自分が1番のサッカー好きだ』と思いながら、ずっとやってきましたから」では、そうした子どもたちを、親はどのように支えていくべきなのか。最後に聞いてみた。
「とにかく愛情を持って子どもに接することでしょうね。そして今、お子さんがサッカー選手になりたいと思っているなら、そのためにベストを尽くしてあげること。結果、たとえ夢がかなわなかったとしても、サッカーに情熱を傾けた時間だったり、そこで築いた人間関係だったりは、将来に必ず生きてきます。人生の選択肢は他にもたくさんあるということを、まずは親が理解しておくべきでしょうね」
細貝萌(ほそがい・はじめ)
1986年6月10日生まれ。群馬県前橋市出身。強豪・前橋育英高校で10番を背負った3年時にインターハイで3位になるなど実績を残し、特別指定選手を経て2005年に浦和レッズに入団。ユーティリティープレーヤーとして5年間活躍したのち、ドイツへ渡る。アウクスブルク、バイエル・レバークーゼン、ヘルタ・ベルリン、シュツットガルトを渡り歩いたブンデスリーガでは1部と2部を合わせて公式戦119試合に出場した。トルコやタイのクラブでもプレーし、2021年9月にJ2のザスパ群馬へ移籍。38歳の現在も地元のクラブで戦い続けている。日本代表歴は通算30試合・1得点。前橋市に自ら設立したフットサル場で子どもたちの指導も行い、またCTEPH(シーテフ=慢性血栓塞栓性肺高血圧症)という難病の啓発大使としても活動している。
この記事の執筆者:吉田 治良 プロフィール
1967年生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。2000年から約10年にわたって『ワールドサッカーダイジェスト』の編集長を務める。2017年に独立。現在はフリーのライター/編集者。