日本でサウナは広く普及している。最近では漫画やドラマなどが人気を後押ししており、2021年の「新語・流行語大賞」では、「ととのう」がノミネートされているほどだ。
温泉施設や健康ランド、スポーツジムなどでもよく見かけるが、2023年1月に日本サウナ総研が実施した「日本のサウナ実態調査2023」によれば、今では1680万人以上がサウナを利用しているという。また、日本にはサウナ施設が1万2000カ所あるとされる。
「サウナ」はフィンランド語
この「サウナ」という言葉はフィンランド語だ。北欧のフィンランドでは、熱気浴や蒸気浴として国民の生活に深く根付いていて、人口約550万人のフィンランド国内にあるサウナの数は320万カ所にもなる。2020年にはユネスコの無形文化遺産にも登録された。筆者もサウナはよく利用している。爽快感に加え、サウナの独特の閉鎖空間で気分転換しながら考え事もできるからだ。そんな筆者は先日、安全保障関連の取材でフィンランドを訪れた。そしてその合間にサウナ取材も敢行。そこで今回は、本場フィンランドのサウナ事情をお伝えしたい。
フィンランドでは、ホテルの部屋にサウナが併設
入るときは、まずサウナルームのストーブに加熱スイッチを入れ、サウナストーン(火成岩)を熱する。しばらく待ってから水をためた桶を持ってサウナルームに入り、サウナストーンに水をかけて熱い蒸気を発生させて温度を高めていく。
そしてある程度汗をかいたら、隣のシャワールームで水を浴び、またサウナに戻る。ホテルの部屋でできるので、誰にも気兼ねなく何度でもサウナを楽しめる。
「サウナ島」といわれるロンナ島へ
ただせっかくサウナの本場であるフィンランドに来たら、地元のサウナも味わいたい。ということで、首都ヘルシンキのマーケットから出航している水上バスで「サウナ島」として知られるロンナ島に向かった。フロントでチェックインを済ますと、サウナの建物に向かい、男女別のロッカールームで着替え、いざサウナに。12人が入れるロフト型のサウナが2つあり、フィンランド人らと一緒に汗を流す。ここのサウナは小さな島ということもあり、水風呂の代わりにバルト海に入って体を冷やす。筆者が訪れたときは、従業員が「今日のバルト海の水温は11度です」と教えてくれた。
そして、海とサウナを往復して「ととのう」のである。