相次ぐK-POPアイドルの「事務所独立」 背景にある“アーティスト側の事情”とメリット・デメリットとは

最近、所属グループは脱退することなく、ソロ活動は他事務所に移籍して行うK-POPアーティストが増えています。その背景にあるアーティスト側の事情、ファンから見たメリットやデメリットとは。※サムネイル写真:アフロ

自由の対価? 大手から移籍・独立したアイドルを待ち受けるデメリットとは

矢野:ここまでの話だと、大手から出る「メリット」の方が大きいように感じました。しかし、再契約をして残るメンバーもいます。移籍や独立の「デメリット」についても聞きたいです。

ゆりこ:メリットとして挙げた「お金」はデメリットにもなります。あるアイドルのメンバーが独立してみて「(ライブや音楽制作に)こんなにお金がかかるなんて驚いた」と話していました。うまくいけば入ってくる額も大きいですが、良いものを作ろうとすると出ていく額も大きい。

矢野:かといって、金策に走っているのがあからさまだと、ファン心も萎えてしまうので難しいところです。

ゆりこ:まさに。異常に高価なファンミーティングを開催したりするのはファンの心も離れる悪手です。だから最初は「投資」と腹をくくって外へ出る人もいるのではないでしょうか。あともう1つのデメリットは「マンパワー」の問題です。

矢野:大きな会社だとアーティスト本人が見えないところでも、多くのスタッフが手を動かしてくれているんですよね。中小事務所への移籍や独立をしてみて、これまでの大規模なプロジェクトや華やかなステージが安定した資本と人海戦術で成り立っていたことに気付く、と。大手企業からベンチャーへ転職した友人からも似たような話を聞いたことがあります。

ゆりこ:はい。なので一部K-POPファンの間で「独立してすぐはサービスにアラが出やすい」という意見がたびたび散見されます。新設ファンクラブでの対応や、ライブスケジュールの急な変更など、あれ?というトラブルが生じたりして、ファン目線からしても明らかにマンパワー不足なのだろうと感じることがあります。そしてスキャンダルにも要注意ですね。その善悪はさておき、大手であれば何とかもみ消してくれることも無きにしもあらずですから。

矢野:重いけれど丈夫で便利な防具を脱いで、自由を得るというイメージでしょうか。融通が利きやすくなる分、今まで以上に大きな責任を伴うのかもしれません。

ゆりこ:はい。どちらを重視するかは人それぞれ。違う選択をしたメンバー同士が、互いの考えを尊重しながらグループを守り続けようというのは、一歩進んだすてきな関係だと感じます。

矢野:長年会社やグループに貢献して頑張ってきたアーティストが、元の仲間や会社とも長年続けてきたプロジェクトに関わり続けながら自分のやりたいことを実現していく。そしてファンもホッとする。うまくいけば「三方良し」の選択ですね。

ゆりこ:今後、“成功例”が続いていくと良いですね。「魔の7年」という言葉よ、早く消えてくれー!

矢野:少し話が変わるのですが、独立といえばHYBEとNewJeansのプロデューサー、ミン・ヒジンさんの社内抗争問題が話題になっていますね。SMに続いてHYBEもお家騒動とは……今後どうなってしまうのでしょうか?

ゆりこ:元の報道からミン・ヒジンさんの記者会見を経て、毎週のように新しいニュースが飛び交っていますね。なかなかの泥沼状態、予想以上に長期化しそうです。また次回、お話ししましょう。
 

【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ
:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやメンズファッション記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)。

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